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「ウィルキンソン」10年で13倍 炭酸水の市場が急拡大したワケ (2/4ページ)

 伝統の赤、柑橘系の青黄、機能性の白

 多くの業界で、商品の売り上げが伸び悩むなか、ウィルキンソンの伸びは驚異的だ。

 2008年の販売数は「年間174万箱」だったが、2018年は「2225万箱」。10年で約13倍に拡大した。ブランドの歴史は後述するが、赤ラベルの「ウィルキンソン タンサン」を500ミリリットルのペットボトルで発売したのは2011年で、それまでも徐々に伸長してきたブランドが急拡大するきっかけとなった。

 現在は商品ラインアップも17種類に増えたが、前述の「赤ラベル」と「青ラベル」、そして「白ラベル」(ウィルキンソン タンサン エクストラ)が三本柱だ。

 「その中でも、赤ラベルがブランドの“一丁目一番地”で最も売れています。青のレモンは爽やかさ、黄のグレープフルーツは清涼感で訴求してきました。また新商品『タンサン エクストラ』(白ラベル)も発売しました。こちらは機能性表示食品でパッケージに『脂肪の吸収を抑える』難消化性デキストリンの働きが食物繊維として含まれています」(本松氏)

 ちなみに商品の消費者像は、「男女でほぼ変わらず、やや男性が多い。現在のコアターゲットは30代と40代の男女で、20代にも広がっています」(本松氏)という。

 例えば、缶コーヒーのように男性中心の傾向は見られない。女性が職場で活躍する時代なので、執務中の息抜きにも選ばれやすい。性別や世代を問わないのは、飲料として有利だ。なお、ミネラルウオーターやお茶は、夏場でも冷やさずに販売する「常温」も広がったが、炭酸水は「冷やしてこそおいしい」という視点で、常温販売は推奨しないそうだ。

 バーテンの世界では長く愛される老舗ブランド

 「ウィルキンソン」が発売されたのは、1904(明治37)年(当時の商品名は「ウヰルキンソン・タンサン」だが、ブランドの歴史はその15年前、1889年にさかのぼる。

 日本に定住していて、国内での商売を考えていた英国人実業家のジョン・クリフォード・ウィルキンソン氏が、狩猟の途中、兵庫県宝塚の山中で天然の炭酸鉱泉を発見した。この湧出水をロンドンの分析機関に依頼して調査した結果、「良質な鉱泉」という評価を得て、翌年に個人事業として鉱泉の瓶詰生産を行い、天然炭酸鉱泉水を発売した。

 それが1904年、湧出量の不足を理由に有馬郡塩瀬村(現在の兵庫県西宮市塩瀬町)生瀬へ工場を移転。会社組織にして「ウヰルキンソン・タンサン」として発売した。戦後の1951年に朝日麦酒(現アサヒビール)が同ブランドの販売契約を締結し、ウヰルキンソン社が製造、朝日麦酒が販売となり、1983年からアサヒビールが商標権を取得して製造販売を始める。ロゴが「ウヰルキンソン」から「ウィルキンソン」に変更されたのは1989年からだ。

 長く、ウイスキーやカクテルなどの酒の割り材として利用され、ホテルのラウンジや有名バーなどで需要があった。師匠や先輩から道具や材料を含めて伝統を受け継ぐ、バーテンダーの世界では人気ブランドだったが、割り材ゆえ「脇役」の存在にとどまっていた。

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