メーカー

「ウィルキンソン」10年で13倍 炭酸水の市場が急拡大したワケ (4/4ページ)

 機能面と情緒面、2つの意味で「飲みやすい」

 以前、別の記事にも書いたが、マーケティング用語に「機能性価値」と「情緒性価値」というものがある。この2つは、商品開発現場で時々議論されるので、改めて考えたい。

 大まかにいうと、商品の持つ性能が「機能性」、商品を使うことで生まれる感情が「情緒性」といえる。

 例えば、炭酸水の「強刺激」といった訴求は「機能性」が明確な商品だ。最新の赤パッケージには「ウィルキンソン タンサン史上 最強刺激」と強調されている。

 一方、炭酸水は、飲む人にとって「情緒性」な意味合いも持つ。飲んでリフレッシュしたり、ストレス解消につながったりする気持ちがあるからだ。また、摂取カロリーや脂質を気にする人にとって、栄養成分表示が「ゼロ」なのも情緒性につながる。

 現代の消費者は無意識のうちに、ある時は「機能性」、ある時は「情緒性」で商品やサービスを選ぶが、その両面を持つのは、商品特性として有利だろう。

 “不易流行”を追求してこそ定番になる

 こうして考えると、視界良好な「ウィルキンソン」だが、中長期的には、「飲食の定番になれるかどうか」だと思う。

 清涼飲料の世界は、カテゴリーの浮き沈みもある。戦後の高度成長期以降は、例えば「コーラ」「缶コーヒー」「ウーロン茶」「紅茶」「緑茶」などが伸びたり、落ち込んだりしてきた。

 現在は「炭酸水ブーム」といっていい状況で、各社から次々に商品が発売されるが、ブームの後には必ず反動がある。一方、ブームによって間口は必ず広がる。その広がった間口、具体的にいえば「炭酸水好き」をどれだけきちんと押さえるかが、今後のカギだろう。

 筆者が時々思い描くのが、「消費者はどんどん変わる」(流行)が、「人間の本質はそれほど変わらない」(不易)という言葉だ。「水」も「炭酸」も古くから飲まれてきた飲料だ。それをどう深め、定番化させられるか。商品パッケージには「磨き抜かれた水」とも記されるが、消費者意識と向き合いながら、ブランドの本質を「磨き抜く」ことなのだろう。

 高井 尚之(たかい・なおゆき)

 経済ジャーナリスト/経営コンサルタント

 1962年名古屋市生まれ。日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆多数。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。

 (経済ジャーナリスト/経営コンサルタント 高井 尚之)(PRESIDENT Online)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus