テクノロジー

第33回先端技術大賞記念講演(2-2)さまざまな科学技術分野での活用に扉を開く (1/3ページ)

 次に、量子コンピュータは何を使って、どう作るのかということを考えたい。情報の媒体として使えるモノは、物質を構成している原子や分子、光を作っている光子、電流を作っている電子など私たちの周囲にたくさんあり、それらは量子力学的には基本粒子と呼んでいる。それぞれの粒子が量子力学的性質を持っており、0と1を区別できない状態にある。

 このような基本粒子で量子コンピュータの情報を作るには、基本粒子が持っている重要な性質を使う必要がある。基本粒子は、「粒」の性質と「波」の性質の2つを併せ持っている。実はこの「波」という性質を使って量子コンピュータを動かすことができ、また所望の結果を見つけ出しやすい処理ができる。これを説明するため、「粒」と「波」の性質について簡単に触れておく。

 例えば、2つの基本粒子があるとすれば、2つの「波」があるということを示している。これを「粒」が2つということに固執していると、「粒」が2つという状況はいつまでも変わらず消えてしまうことはない。

 ところが、これを2つの「波」と考えてみると、2つの「波」の山と山が合えば、山は2倍になるし、谷も2倍になる。でも、山と谷が合うと相殺して消えてしまう。消えてしまうということはとても不思議で、「粒」がなくなるということを意味している。2つの「粒」は、波と谷があった瞬間に消えてしまう。

 では、「粒」2つという話はどこへ行ってしまったか。実は波の大きさとは、波の大きさを2乗すると粒に相当する。ということは、波が2倍になると2×2で4になり、4つの「粒」に相当する。波が消えたということはゼロだから、平均すると2つになる。ここで2つの粒の概念が復活するわけ。そうすると2つの「波」と2つの「粒」という考え方の整合性が取れる。ここで大事なことは、波の場合はコントロールすることで大きくしたり消したりできること。この大きくするということをうまく使えば、自分の欲しい答えが見つけやすくなり確率を上げるということができる。これをうまく使っているのが量子コンピュータのアルゴリズムだ。

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