テクノロジー

第33回先端技術大賞記念講演(2-1)次世代高速計算機 「量子コンピュータ」はなぜパワフルか (1/2ページ)

 □理化学研究所創発物性科学研究センター副センター長・樽茶清悟氏

 優れた研究成果をあげた理工系学生や企業・研究機関などの若手研究者を表彰するフジサンケイビジネスアイ主催の「第33回 独創性を拓く 先端技術大賞」(後援・文部科学省、経済産業省、フジテレビジョン、産経新聞社、ニッポン放送)。高円宮妃久子さまをお迎えして7月11日に開かれた授賞式では、理化学研究所創発物性科学研究センターの樽茶清悟副センター長が次世代の高速計算機として世界で開発が進む量子コンピュータについて講演。この中で、樽茶氏は「近い将来、量子コンピュータによって新たな情報処理技術が確立され、さまざまな科学技術分野の研究に新たな扉が開かれる」と指摘した。

 情報量の急激な増加に対応

 私たちの周りには情報が溢れ、その情報量は年々急激に増加している。情報量の増加はコンピュータの処理能力向上と比べるとはるかに大きく、これから先、情報を適切に処理していけるのか。その情報は安全かということを考えると、とても不安になる。

 それを解決する方法の一つが、最近世界で急速に研究が進んでいる量子コンピュータの開発だ。ここでは量子コンピュータのどのような点が優れ、どのような原理で動いているかなど、ファンダメンタルを中心に話をしたい。

 まず、普通のコンピュータが行なっている情報処理について整理すると、情報の単位はビットと呼ばれ、ビットは0か1という、二進法で記述される2種類の情報でできている。これが2ビットになると、情報は「00」「01」「10」「11」の4種類になる。このようなビットを用いた計算では、Aとして「01」、Bとして「10」という確定した情報を入力して計算を行い、また次の入力に対して計算する。このようなことを順次繰り返しながら計算していく。

 一方、量子コンピュータの場合はどうか。量子力学を学んでこなかった人には少しハードルが高いかもしれないが、一度にたくさんのことを知る必要はなく、ここでは3つのことを理解してもらえればいい。

 一つは「重ね合わせ」という原理。これが第一の壁で、量子力学の重ね合わせの性質によれば、1ビットは0か1のどちらにも確定することができない。これは、0と1の2つの情報を同時に含むことを意味する。つまり、2つの情報を重ね合わせたものとして量子力学の1ビットが作られる。

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