話題・その他

シリーズ物ばかり…これも時代が原因か 社会学者の分析で知るテレビCM (3/4ページ)

 13年も地球に居続ける“宇宙人ジョーンズ”

 平成20年(2008年)、『広告批評』最後のベストテンにランクインしたサントリーのCMは、「宇宙人ジョーンズ 地球調査中」です。

 平成18年(2006年)の初回登場時に1位になったこのCMは、今さら説明するまでもありません。トミー・リー・ジョーンズ扮する宇宙人が、地球を「この星」と呼び、調査をしている設定です。平成30年(2018年)の最新版は、忠臣蔵編が作られており、13年続いています。

 続いているからには、缶コーヒーのBOSSの売り上げは好調なのだし、また、消費者からの支持も集めているのでしょう。また、ハリウッドスターのジョーンズにコメディーを演じさせる芸当は、サントリーでなければできません。

 ところで、広告とは、「特定の商品の宣伝と販売という明確な意図/動機に基づいて私企業が不特定多数に向かって発信する陳述の形式」(遠藤知巳「解説」北田暁大『広告の誕生 近代メディア文化の歴史社会学』岩波現代文庫、2008年、246p)のことです。

 すなわち、この「宇宙人ジョーンズ」についていえば、もはや「特定の商品の宣伝と販売という明確な意図/動機」は消えています。13年も続けていれば、日本中のかなりの数の人が、缶コーヒーのBOSSを知っています。というよりも、BOSS自体、ロングセラー商品であり、わざわざ「不特定多数に向かって発信する」必要はありません。にもかかわらず、このCMは続いています。

 目新しさがなく、ゆるゆると続いていく

 広告ベストテンに選ばれ、休刊後10年を経てもなお続いているCMは、これだけではありません。

 たとえば、ソフトバンクの「白戸家の人々」もまた、平成19年(2007年)以来、続いています。同年の広告ベストテンには9位、翌年の最終年には3位に入っています。白い犬扮するお父さんに、北大路欣也が声を担当しています。こういった説明が不要なほど、広く知られています。

 「宇宙人ジョーンズ」同様、「白戸家の人々」もまた、同じCMを続ける必要はありません。目新しさはないどころか、逆に、惰性によるゆるみやたるみの方が目立つからです。それでもやはり、このCMは続いています。そして、この続いている背景に『広告批評』の終わりが関係しているのではないか、というのが結論です。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus