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苦境の東電、原発継続に異例のスクラム 自力難しく共同運営へ (1/2ページ)

 東京電力ホールディングスが、原発事業の継続に向け他社と手を組む異例の共同運営化に本腰を入れ始めた。これまで自力で運営してきた原発を他社の力に頼るのは、膨らむ原発の安全対策費用や難しい廃炉作業、首都圏での顧客離れなどで経営環境が悪化しているためだ。共同運営にすることで東電色を薄め、原発事業に携わることへの反発を和らげたい思惑もある。実現すれば、国内の原発事業の新手法になる可能性が高い。電力会社が重荷の原発事業を本体から切り離す動きも活発化しそうだ。

 東電が共同化を探るのは、建設を中断している東通原子力発電所(青森県)。中部電力や原発メーカーの日立製作所、東芝の3社に新会社設立を打診した。東電は、平成29年に策定し国が認定した現在の経営再建計画に東通原発の共同事業化方針を明記。これに沿う形で4社は30年8月から原子力事業の提携をめぐって協議を進めてきた。新会社には地元との調整や運営、保守までを一貫して担わせる考えで、令和2年以降の設立を目指している。

 国は東電に対して東通原発の建設を許可しており、1号機を平成23年1月に着工。当初の計画では29年3月に稼働予定だったが、東日本大震災を受けて工事を中断した。計画自体は白紙になってはないが、福島第1原発事故を起こした東電による原発建設には慎重な意見も多く、再開にはこぎ着けていない。4社連合にすることで、東電に対する国民感情を抑え、建設を再開させたいとの思惑もにじむ。

 東電は電力小売りの全面自由化で最大市場の首都圏を東京ガスなど新電力に攻められ、30年度の販売電力量は自社原発全停止後の24年度に比べて14%減少した。顧客流出は今も続いており、これを止める切り札は安価に発電できる原発の再稼働との考えがある。関西電力のように、原発の再稼働で電気料金を引き下げることができれば競争力が出せるとみているためだ。

 ただ原発事故後、原発の安全対策費用も膨らむ。東電は7月、柏崎刈羽原発(新潟県)の対策費用を約6800億円から2倍近くの約1兆1690億円に見直した。テロ対策施設など新規制基準への対応費用が大きく増えたことが要因で、改めて原発の再稼働に巨額の費用がかかることが浮き彫りになった格好だ。これを踏まえると、建設再開を目指す東通原発の費用は相当な額に上るとみられ、他社と分担したいとの考えもある。

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