金融

かんぽ不適切販売 グループの収益構造にもメス

 かんぽ生命保険による不適切販売はなぜここまで広がり、組織の自浄作用も働かなかったのか-。再発防止のためにも、立ち入り検査に入った金融庁が今後解明していかなければならない最重要テーマだが、問題はここにとどまらない。無理な営業の根底には日本郵政グループ全体のビジネスモデルの行き詰まりがあるからだ。金融庁は、年末までに行う行政処分で業務改善を促しつつ、ビジネスモデルの変革も迫る方針だ。

 「経営陣が経営をしていないのではないか」。金融庁のある幹部はそう語る。外部環境が変化し、従来のビジネスモデルが限界を迎えた場合、新たな方向性を示すのが経営の役割だ。「それを行わずノルマや評価で売り上げを伸ばそうそうとすれば、組織にゆがみが生じて当然だ」(同幹部)との思いがある。

 日本郵政グループは、全国に郵便を届ける使命を持つ点で、利益を追い続ければよい民間企業とは一線を画する。電子メールの普及で手紙やはがきの需要が減少する中、低収益となっている郵便事業を支えるのがゆうちょ銀行とかんぽ生命の2社だ。

 ただ、この2社も従来のように収益が上げづらい環境となっている。特にかんぽ生命は低金利環境の長期化により主力の貯蓄性商品の魅力が低下。また新規契約の約4分の1が70歳以上の高齢者に偏っており、将来にわたり安定した収益が見込めない状況となっているのだ。

 民間生保のように新商品を出すことも容易ではない。親会社の日本郵政を通じ、間接的に政府出資を受けるかんぽ生命は新たな保険を投入する際、政府から民業圧迫につながらないかの審査が行われ、医療保険だけを個別に販売するといったことも認められておらず、営業面での大きな制約がある。

 ただ、日本郵政グループにしかない強みもある。全国2万4000の郵便局ネットワークだ。維持管理するためのコストは「重荷」にもなるが、ITの活用や地域の金融機関との連携など、工夫次第では大きな「武器」にもなり得ることから、金融庁も有効活用を呼びかけてきた。

 日本郵政やかんぽ生命の経営に詳しい帝京大の宿輪純一教授も「地方の物産の販売など、もともと郵便局には地方を助け共存するビジネスモデルがある。2万4000のネットワークを生かし、地域のためという原点に立ち返り、長期的かつ公共的な経営をするべきだ」と話している。(蕎麦谷里志)

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