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グーグル、独占批判に徹底抗戦 米政界に分割論なお

 【ワシントン=塩原永久】米IT大手グーグルは納税をめぐる問題でフランス政府との和解に応じたものの、独占的な立場で市場をゆがめているとの批判には強く抵抗している。グーグル同様に独占的な地位が問題視された大企業が会社分割を迫られた前例もあり、グーグルは政界へのロビー活動や各国当局への反論なども視野に入れているとみられる。

 「(市場は)混雑しており競争にさらされている」

 グーグル幹部は11日、ブログへの投稿で、同社が自由な市場競争を阻害しているとの見方に反論した。デジタル広告技術の分野で、グーグルは一事業者にすぎないと指摘。競争は熾烈(しれつ)だとして、当局が抱くグーグルへの懸念には「喜んで答える」と自信をみせた。

 反トラスト法では過去、1980年代にAT&Tなどが会社分割を命じられた例がある。マイクロソフトは基本ソフト(OS)と閲覧ソフトの抱き合わせ販売が問題視され、裁判所からいったん会社分割が命じられたものの、同社が技術情報の公開などに応じて2002年に和解が成立した。

 反トラスト法を所管する司法省幹部は、当時のマイクロソフトへの調査について「グーグルやヤフー、アップルが市場に進出する道を開いた」と述べ、競争を活性化させたと評価した。こうした中、米政界では巨大IT企業の分割論が今もくすぶっている。

 調査会社イーマーケッターによると、米国のデジタル広告市場で、グーグルのシェアは37%と首位。売上高は約480億ドル(5兆円超)に上るという。

 米連邦取引委員会(FTC)などは4日、グーグル傘下の動画投稿サイト「ユーチューブ」が子供の情報を違法収集したとして、1億7千万ドルの制裁金を科すことを決めた。だが、グーグルの収益規模を考慮すると、制裁金が将来の違法行為を抑止する効果は乏しいとの批判がつきまとう。

 グーグルなど米IT大手は中核事業の収益モデルを死守するため、ロビー活動を通じた政界や当局への働きかけや法廷闘争も視野に対抗策を練るとみられる。

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