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ASEANスマートシティー支援 官民協議会設立へ

 政府は、東南アジア諸国連合(ASEAN)の26都市で、ICT(情報通信技術)を活用した「スマートシティ」の実現を日本企業と一体で支援するため、官民協議会を今月中にも立ち上げる方針を固めた。年内にも、各種公共交通機関を連携させる次世代移動サービス「MaaS(マース)」や、上下水道管理の高度化など、各都市が要望するプロジェクトから、優先的に取り組むものを選定し、来年度から本格支援に入る。ASEAN各国にインフラ支援を進める中国に、質の高さで対抗する狙いもある。

 官民協議会は今月末から来月初めに設立予定で、国土交通省、経済産業省などの関係省庁と、金融、建設、不動産、情報通信といった業種の民間企業約200社が参加する。

 参加企業は、ASEAN10カ国の首都など26都市の抱えるさまざまな課題をICTなどの最新技術で解決することを目指す。ベトナムのハノイでは、マースの実現に向けて交通管理システムの技術支援、カンボジアのプノンペンでは公共バスのキャッシュレス(非現金)化の支援を検討する。一方、関係省庁は、こうした新しい技術やシステムを各国が導入するに当たって、法改正や規制緩和などの制度整備を支援する。

 ASEANへのスマートシティ支援は、昨年11月にASEAN加盟国との首脳会議で安倍晋三首相が表明した。今年10月8、9日には横浜市で、ASEANや日本の次官級担当者や企業が参加するハイレベル会合が開かれ、会議開催前に新設する官民協議会による支援の具体化に向けた話し合いなどが持たれる。

 ASEAN各国へは、中国も巨大経済圏構想「一帯一路」の下にインフラ支援を行っているが「当初の建設費用は安くても、壊れやすくトータルのコストは高い」(政府関係者)とされる。政府は、日本企業の持つ質の高い技術をアピールし、ASEANでの受注を後押しする考えだ。

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