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近鉄“牙城”の奈良へ攻勢 JR西日本、ノンストップ特急を臨時運行 (1/2ページ)

 JR西日本が、近鉄グループホールディングス(HD)の“牙城”にあたる奈良に攻勢を強めようとしている。3月に「おおさか東線」(新大阪-久宝寺間)が全線開通し、関西線と直結したのを受け、11月から新大阪-奈良間をノンストップで結ぶ特急を臨時運行する。奈良県内に主要路線を持つ近鉄には脅威になると思われそうだが、逆に「近鉄にとってもプラス」(広報)とむしろ歓迎する向きもある。秋の行楽シーズンを控え、京都、大阪の訪日外国人客(インバウンド)のにぎわいに比べて、宿泊者数などで伸び悩む奈良。JR西の力も借りて、商機を得ようとする思惑もある。(黒川信雄)

 「まほろば」通年運行を視野

 「私たちはこれまで、奈良という地域を十分に活用できていなかった。その状況を打破したい」

 大阪市内での8月22日の会見で、JR西の森川国昭執行役員はこう意気込んだ。

 同日、11~12月上旬に新大阪-奈良間を直通する臨時特急「まほろば」を運行すると発表。土日を中心に計13日間、1日1往復させる。新幹線を利用して関西に来る観光客を奈良に引き込む狙い。森川氏は通年運行も視野に入れる。

 旅行業界関係者は「まほろばの運行開始で、指定席がとれる特急と、新幹線を組み合わせた奈良への旅行商品の販売が可能になる」と算段する。

 JR西はまほろばの運行に合わせ、奈良駅構内でのPRイベントや乗客への地元特産品プレゼント、九州、山陽方面からの旅客向けツアーなどを実施する。

 JR西が奈良に力を入れる背景には、京都や大阪の観光需要に過剰感が出てきたことがある。京都では、市営バスを観光客が多く利用するため、混雑で住民が乗り切れないといった事態も起きている。

 一方、奈良県は「古都奈良の文化財」が世界遺産に登録されるなど、観光資源に恵まれているが、経済効果はいまひとつ。開拓の余地はまだまだある。

 観光庁によると、平成29年に奈良県外から同県を訪れた日帰り客の消費額は4832円で、これは消費額が判明している全国の都道府県で秋田県、岐阜県に次ぐワースト3位だ。

 30年の都道府県別の「延べ宿泊数」の調査では奈良県は229万人と46位。大阪府は2位、京都府が8位にあり比べて差が大きい。

 「交通アクセスの改善は宿泊客増につながらないとの指摘もあるが、そんなことを言っている場合ではない。日帰りでも、より多くの方に奈良を訪れてもらい、その魅力をまず知ってもらうことが重要だ」。奈良市観光協会の高橋一専務理事はこう述べ、JR西の動きを歓迎する。

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