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がん自動判定で見落とし軽減 AIメディカルサービス、22年実用化目指す

 医療ベンチャーのAIメディカルサービス(東京都豊島区)は、内視鏡で撮影された胃の内部の画像を人工知能(AI)を使って、がんを自動判定するシステムの開発に乗り出した。2022年の実用化を目指す。内視鏡検診後、複数の医師が目視で再確認する「2次読影」を行うが、1症例に数十枚の画像を見なければならず、医師の負担になっていた。このシステムを使えば、医療現場での働き方改革だけでなく、がんの見落としリスクも軽減されそうだ。

 内視鏡で撮影された胃の内部の画像を大量に集めてデータベース化し、AIの一種であるディープラーニング(深層学習)でがん細胞の有無を判断する。判断の基となる画像について、同社は国内の複数の医療機関から、この1年間、胃がんだけで3000症例分の画像を集めた。「現時点でも94%の確率でがんを見分けられる」(戸叶雅之・品質保証部門兼研究推進室マネージャー)という。

 このたび、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の公募助成プロジェクトに採択され、がん研究会有明病院(東京都江東区)、聖マリアンナ医科大学病院(川崎市宮前区)、日本医科大学武蔵小杉病院(同中原区)などに内視鏡画像の提供を呼び掛け、向こう1年間で約1500症例の画像を集める。現状では判定に課題を抱える初期段階の胃がんの画像を中心に集める考え。

 来年から、川崎市内の医療機関にも協力を呼び掛けて実用化に向けた実証実験を行う。その後、実証実験の範囲を段階的に全国に広げる。

 胃がんを念頭に研究開発が進められているが、「大腸や食道など消化器系に関するがんの診断には役立つ可能性がある」(戸叶氏)としており、将来的には海外での展開も視野に置いている。

【会社概要】AIメディカルサービス

 ▽代表者=多田智裕・代表取締役最高経営責任者(CEO)

 ▽本社=東京都豊島区南池袋1-10-13 荒井ビル2F

 ▽設立=2017年9月1日

 ▽資本金=2億4000万円(準備金含む)

 ▽従業員数=24人(2019年7月現在)

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