金融

東京海上、米富裕層向け保険大手買収 約3200億円で

 損害保険大手の東京海上ホールディングス(HD)は3日、米富裕層向け保険大手のピュアグループを今年度内に買収すると発表した。買収額は約31億ドル(約3255億円)で、東京海上HDの買収案件としては米フィラデルフィア・コンソリデイティッドの買収額4987億円に次ぐ3番目の規模。多発する自然災害の保険金支払いで経営リスクは高まっており、拡大が見込める米国の富裕層向け保険市場の開拓で収益拡大を目指す。

 ピュアは富裕層向けの米保険市場のシェアで米AIGなどに次いで3位。保険料の一部を手数料として受け取るビジネスモデルを主体にしており、災害などの多発で保険金の支払いが増えても経営に影響を受けにくい特徴がある。2018年12月期の連結最終利益は5200万ドル。米国では富裕層が今後も増加すると見込んでおり、20年12月期には最終利益で9500万ドルの達成を計画している。

 東京海上HDの小宮暁社長は同日会見し、「米国は市場規模が大きく安定的に成長し、透明性も高い。経営リスクを分散する上では魅力的な市場だ」と強調。「ピュアグループは一カ所の州にリスクを集中させないなどリスク選択能力も高く、東京海上との企業文化も合っている」と買収理由を説明した。

 損保各社は人口減少の影響を受け、国内市場で主力の自動車保険や火災保険の収益力が低下。近年は台風や地震など自然災害が頻発しており、被害に伴う保険金支払いがさらに経営を圧迫すると懸念を強める。

 各社は海外市場の開拓によるリスク分散を急いでおり、東京海上HDは欧米で大型のM&A(企業の合併・買収)を矢継ぎ早に実施。来年度には利益全体の半分近くを海外で稼ぐ見込みだ。小宮社長は「リスクを分散でき、盤石な経営基盤を築ける案件があれば今後も積極的にM&Aに挑戦する」と述べた。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus