インタビュー

早期決着、車高関税回避で及第点 エコノミストに日米貿易協定を聞く

 SMBC日興証券日本担当シニアエコノミスト・宮前耕也さんに聞く

 --日米両政府は7日(日本時間8日)、貿易協定に署名した

 「日本は、もともと農産品の関税引き下げは環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)で認めた範囲内としていた。一方、協定が履行中の間は、米国は日本からの自動車輸入に対し、通商拡大法232条に基づく高関税を発動しないことが文書に盛り込まれた。自動車業界にとっては一安心だ。厳しい交渉の中で及第点を与えられる」

 --消費者や自動車メーカーへの影響は

 「牛肉など農産品の輸入関税が段階的に引き下げられるので、消費者にとってはプラスになる。一方、日本から輸出する自動車の関税(2.5%)についてはTPPでは最終的に撤廃が認められたが、今回は『さらなる交渉による関税撤廃』として、先送りされた。ただ、米国向け自動車輸出は足元で堅調だ。2000年代に比べると現地生産が進んでいるため、米国向け輸出の変動は緩やかになっている。232条に基づく高関税の発動回避は日本にとって大きい」

 --交渉入りを決めてから1年での最終合意と、スピード決着だった

 「昨年末のTPP発効に伴い、米国は農産品の対日輸出競争力が相対的に下がった。このことが、大統領選を前にトランプ米政権の焦りを誘った。また、貿易と安全保障は表裏一体だ。米中の覇権争いが激しさを増す中で、米国は日本との関係を強固にする必要があった。米国は農産品の市場開放でTPP以上を目指したが、妥協して、早期決着に落ち着いた」

 --日本にとって合意内容は100点満点中、どの程度の評価か

 「まずまずの評価で70点だ。自動車関税の撤廃が継続協議となるなど、90点は与えられない」

【プロフィル】宮前耕也

 みやまえ・こうや 東大経卒。大阪ガス、野村証券などを経て、2011年SMBC日興証券入社。専門は日本経済、財政。大阪府出身。

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