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ナガオカ、ダイヤ接合針で世界シェア9割超 令和にもレコードの魅力普及

 レコードを高音質で楽しめる、先端にダイヤモンドを接合したレコード針。世界シェア9割以上を誇るのが山形県東根市にあるメーカー「ナガオカ」だ。CDやインターネット配信など音楽の楽しみ方が多様化する中、同社関係者は「レコードで聴く音楽には深みがある。令和の時代にも魅力を知ってもらいたい」と意気込む。

 CD誕生で生産激減

 ナガオカが生産するのはチタンの先端に人工ダイヤモンドを接合した針で、主力は長さ1ミリ、太さ0.25ミリと一般的なシャープペンシルの芯より細い。同社によるとダイヤだと約200~300時間の再生に耐えられ、サファイアで作られたものより10倍以上長持ちし、音質も優れるという。

 全社員約100人のうち、十数人が専用の機械で針の接合や研磨などに当たる。その後、レコードの溝から音をよりきれいに拾うため先端を加工するものもあるが、この作業は職人の指先に左右される。長岡香江社長(46)は「熟練の技が頼りだ」と話す。

 同社は1940年に時計部品製造会社として東京都豊島区に設立。61年にダイヤモンド接合針の生産を開始し、山形にも工場を建設した。84年には平均で月産100万本に達したが、CDの普及とともに生産量は激減。東京の工場を売却し山形で生産を続けてきた。

 若者らに新鮮な興味

 「“サブスクリプション”まるで分かんねぇ “ナガオカ針”しか記憶にねぇよ」

 2016年に発売された桑田佳祐さんの歌「ヨシ子さん」の一節だ。ナガオカ針と対比されているのはインターネットの定額聴き放題サービスのこと。日本レコード協会によると、19年1~6月のサブスクリプションの売り上げは前年比で2割以上も増加。その一方で「限定発売されたジャケットがかっこいい」「ビートルズをレコードで聴いてみたい」と興味を持つ若い人も増えている。

 星野源さんや人気女性グループPerfume(パフューム)といった若者に人気のアーティストがレコードで楽曲を販売し、購入者の裾野が広がっている。ナガオカの接合針も生産量は一時、月10万本を割り込んだが、19年は月約25万本を回復したとみられるという。

 同社によると、今やダイヤモンド接合針を生産する会社はナガオカのみ。長岡社長は「わが社が作らなければレコードを聴くことができなくなる。これからも多くの人に楽しんでもらえるよう生産を続けていきたい」と強調する。

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