メーカー

セブン、オーナーらと意見交換会 今後のコンビニ像の試金石

 セブン-イレブン・ジャパンが広島市で加盟店オーナーと役員の意見交換会を実施したのは、「加盟店配慮」の姿勢を内外に示し、24時間営業の是非などコンビニエンスストアをめぐる諸課題への対応を円滑に進める狙いだ。だが親会社のセブン&アイ・ホールディングスが示す構造改革案では不採算店約1000店の閉鎖・移転が盛り込まれ、「一枚岩」の体制構築には曲折も予想される。

 「要望に対し、きっちり返答する。もしくは持ち帰って改めて検討する。本部と加盟店が共に発展していく会議にしたい」。意見交換会の冒頭、セブン-イレブンの永松文彦社長は、神妙な面持ちで加盟店のオーナーらに語りかけた。

 手土産で“本気”示す

 同社にとって加盟店支援の加速は焦眉の急だ。コンビニ業界は最近、24時間営業の是非や食品ロス問題への対応といった経営課題が次々と浮上するが、議論に火を注いだのが大阪府のセブン加盟店が踏み切った営業時間の短縮。人手不足などで加盟店が人件費の高騰など重い負担を余儀なくされている実体が浮き彫りとなり、社長交代にまで発展した経緯がある。

 こういった事情から、今回の意見交換会では「これだけの規模でオーナーと幹部が話し合うのは初めて」(広報)と本気度を強調。10日の中間決算会見でも加盟店料(ロイヤルティー)の見直しにより低収益店を支援し、1店舗平均で年間約50万円の収益改善を図るとしており、この“手土産”もてこに加盟店との良好な関係を演出した。

 だが加盟店の負担軽減は道半ばだ。経済産業省の求めで策定した加盟店支援の行動計画で明記された営業時間短縮の実証実験には約200店舗が参加し、約10店舗が正式な時短店舗として近く営業を始める方向だが、利便性のイメージが損なわれればチェーン全体の収益に影響する可能性があり、店舗拡大をどこまで容認するかは難しい。

 ちらつく1000店閉鎖

 ロイヤルティーの見直しについても、人件費などコスト負担の見直しといった核心部分までには踏み込めていない。また低収益店を支援する一方で、不採算店は閉鎖・移転するという構造改革も、加盟店の疑心暗鬼を生む恐れがある。

 親会社のセブン&アイは通期の連結決算で過去最高益を見込む一方、スーパーや百貨店事業の構造改革に着手。コンビニ依存からの脱却を図るが、屋台骨となるコンビニ事業の持続性が揺らげば成長シナリオは画餅に帰す。「お客さま第一だったが、社会にどう貢献できるか話し合いたい」。永松氏の呼びかけが実を結ぶかがコンビニの今後を占う試金石となる。(佐久間修志)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus