主張

国際デジタル課税 政治主導で合意形成図れ

 巨大なIT企業へのデジタル課税の国際ルールを検討してきた経済協力開発機構(OECD)が枠組み案をまとめた。

 支店や工場などの拠点がなくても、利用者がいる国での売上高などに応じ、一定の法人税を課せられるようにする。

 グーグルやアマゾンなど「GAFA」と呼ばれる米国の巨大IT企業は世界で多額の利益を生み出しているが、市場となっている国では適正に課税できていない。

 こうした企業は租税回避などの手法も駆使しており、国際的な枠組みづくりを急ぐ必要がある。

 米国で閉幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議でも、来年中に新たな課税ルールの最終合意を目指すことを確認した。ただ、対象企業の線引きに加え、課税を想定する「超過利益」をどう認定するのかなどで課題も残る。

 各国の利害が交錯し、調整の難航も予想される中で合意を図るには、政治指導者のリーダーシップが欠かせない。

 法人税は本社や支店、工場などの物理的な拠点がない国では課税できない。しかし、インターネットを通じてサービス提供する巨大IT企業は、利用者がいる国に拠点を持っているとは限らない。

 このため、OECDでは拠点がなくても、利用者のいる国で一定の売上高や利益を計上する企業に課税できるようにする。ブランドやノウハウなどの「無形価値」が生み出した利益を超過利益として認定し、その税収の一部を実際に売り上げた国に分配する。

 これまでGAFAなどは、低税率の国・地域に拠点を置き、世界で稼いだ利益をそこに移転させるなどで実質的な課税逃れをしてきた。新ルールではこうした行為を許さず、利益に対する適正な課税を目指す。ネットサービスが急成長する中で当然の取り組みだ。

 しかし、米国が自国企業を狙い撃ちにした税制だと反発したため、課税対象はIT以外にも広げる方向だ。海外利益率が高い製薬企業などが想定されるが、事業構造に留意し、実効性の高いデジタル課税としてまとめるべきだ。

 巨大IT企業に対し、国際的に適正な課税を目指す動きは歓迎すべきだ。とくに日本は、こうした枠組みづくりを主導してきた経緯がある。最終合意に向け、最後までとりまとめに努めてほしい。

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