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和歌山 若者ら自然派ジャム販売 都会から移住、食用バラ栽培

 紀伊半島南端に近い和歌山県古座川町で、都会から移住した若者らが食用バラの生産や加工販売を手掛けている。「環境と人に優しい花を」と、竹製のハウスで農薬や化学肥料などを使わずに栽培。自然な甘さと肉厚な花びらの食感が楽しめるジャムが魅力だ。

 町役場から車で30分余り。山あいに約10棟のハウスが連なる。ここで地元の農産加工会社「あがらと」から栽培を請け負う久山秋星さん(29)は以前は京都市の生花店で働いていたが「栽培から関わりたい」と2017年5月に移住した。

 アユ釣りで知られる清流、古座川が流れ面積の90%以上が森林の同町。久山さんは「きれいな水と風通しの良い地形はバラ栽培に最適」と話す。

 久山さんは生花店に勤務していたころ、農薬アレルギーで花を飾れない客に出会った経験から、化学物質を使わない栽培にこだわる。バラは病虫害に弱く、試行錯誤の連続だったが、ようやく軌道に乗ってきた。

 環境への配慮から、ハウスの骨格には竹を使用。工事現場の足場を囲うメッシュの廃材を覆いに再利用した。台風などで壊れることもあったが、組み方を工夫し、風雨に強い形を見つけた。

 収穫期は5~11月。春と秋のピーク時には1日約3キロの花を収穫する。加工したジャムは口に入れた瞬間、バラの香りが広がり、ほんのりとした甘さ。シャキシャキした花びらの食感が特徴だ。クリームなどに混ぜて使うシロップもあり、県内の小売店やインターネットで販売している。

 広報・事務を担当する苅部美乃里さん(32)も移住者。横浜市出身で「昔はシティー派でした」と笑うが、広告代理店に勤務していた14年夏、旅行で町を訪れ自然のとりこに。18年春に東京から引っ越してきて事業に加わった。「海も近く、自然の中に身を置くと心が豊かになる」と、町での暮らしの魅力を語る。

 今後はバラを使ったバターや蜂蜜も売り出す予定。苅部さんは「販売網を広げ、安全な商品をより多くの人に届けたい」と意気込んでいる。

                   

【用語解説】食用バラ

 英語でエディブルローズと呼ばれ、花びらが厚く香りが強い品種が食用向きとされる。「パパメイアン」や「イブピアッチェ」が代表例。抗酸化作用があるポリフェノールが豊富に含まれ、日本では数年前から注目されるようになった。ジャムやシロップに加工されることが多いが、サラダの具材などとして生でも食べられ、ほのかな苦味が特徴。

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