金融

マネーロンダリング国際審査始まる 暗号資産も対象、厳格化へ

 日本の金融機関のマネーロンダリング(資金洗浄)対策を審査する国際組織「金融活動作業部会」(FATF)の第4次審査が28日、始まった。金融庁や銀行などに加え、今回は初めて暗号資産(仮想通貨)交換業者も調査する。2008年の前回審査で日本は「不合格」とされただけに汚名返上を図りたい考えだが、流出リスクを抱える暗号資産関連の調査もあり、審査の厳格化も予想される。

 管理態勢厳しく指導

 今回の審査では、利用者の匿名性の高さや取引の追跡の困難さから、犯罪に悪用される懸念が強い暗号資産を取り扱う業者も対象となる。米フェイスブックが発行を計画する暗号試算「リブラ」普及のリスクが国際的にも注目される中、審査基準はより厳しく設定されるとみられる。

 国内では昨年から今年にかけて、コインチェックなどの暗号資産交換業者から巨額の暗号資産が流出しており、金融庁が規制強化に動き出し、交換業者の管理態勢を厳しく指導している。

 今回の審査では、「そうした規正にのっとった管理をしている金融庁登録済みの交換業者の一部が対象となる見通し」(金融業界関係者)のようだ。

 ただ、「経営規模の小さな業者は人材不足から対策が行き届いていない部分もあり、審査基準を満たさない業者が潜在的にある可能性も指摘される」(同)。今年7月には金融庁に登録されていたビットポイントジャパンから約35億円分の暗号資産が流出する事件も起きており、大手でもFATFの審査基準を達成できるかは見通せない状況だ。

 暗号資産以外でも、外国人労働者の受け入れを拡大する改正出入国管理法の施行で在留外国人が増加傾向にある日本では、外国人による預金口座の闇売買が横行するなどの不正送金が発覚するケースが目立つ。17年には愛媛銀行で数億円規模のマネロンと疑われる海外送金を見逃したとされる事案も発生しており、経営規模が小さな地方銀行の対応力強化も大きな課題として残っている。

 法整備など評価

 審査では、当局幹部や金融機関の経営陣などへの聞き取りを中心に、マネロン対策の関連法整備など40項目と、企業ごとの対策の有効性など11項目を評価する。40項目中で半分以上、有効性など11項目で一定数以上が合格基準に達しなければ監視対象国とされ、2年に1回程度、FATFへの対策状況の報告が求められる。罰則はないが、再び日本が不合格となれば国際的信頼が揺らぎ、邦銀からの海外決済や送金などに影響する恐れがある。

 今回の調査は11月15日までの予定。結果は「対日審査報告書」にまとめ、来年6月の作業部会の全体会合で内容を討議した上で、来年8月ごろに公表する。

 ただ、審査は厳しく、FATFは9月現在、25カ国で第4次審査を終えたが、実質的合格だったのは英国やイタリアなど7カ国のみ。日本は08年の審査で49項目中25項目で要改善の評価を受け、14年には必要な法整備が遅れていると異例の声明が出されている。

                   

 FATFの第4次審査の主なポイント項目

 ≪40の勧告項目≫

  本人確認・取引記録の保存義務

  送金サービス提供者の規正

  新技術の悪用防止

  勧告履行に問題がある国・地域への対応

  義務の不履行に対する制裁措置

  法律上の相互援助、国際協力

 ≪11の有効性の審査項目≫

  資金洗浄・テロ資金供与リスクの認識・協調

  特定金融情報などの活用

  資金洗浄の捜査・訴追・制裁

  犯罪収益の没収

  テロ資金の凍結

  大量破壊兵器に関与する者への金融制裁

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus