インタビュー

SMBC日興証券 消費税10%超、受益と負担の関係明確に

 SMBC日興証券 金融経済調査部担当部長 金融財政アナリスト・末澤豪謙さん(58)に聞く

 --10月に消費税率が8%から10%に引き上げられた

 「日本では、消費税は当初、1989年4月に3%で導入されたが、2桁に到達するのに30年半を要したことになる。それでも、他の先進国と比べると決して高い水準とはいえない。米国は地域間で差が大きいが、欧州諸国の付加価値税(VAT)をみると20%台はざらにある」

 --日本では、消費者の「痛税感」が指摘される

 「私見だが、日本で消費税増税に伴う痛税感が強いのは、他国に比べて家族主義的で、共同体意識が強いからだと思う。日本の政界で消費税は『鬼門』とされ、税率引き上げには多大な政治的エネルギーを費やしてきた」

 --実際に税率が10%となり、今後の景気動向は

 「いろんな見方があると思うが、消費税増税が直接の原因となって景気が後退したケースは過去になかったとみている。むしろ、政府が増税の環境が整うのを待った結果、増税の時期と景気の潮目が変わる時期が重なったことが大きい。政府は今回、増税による経済への影響を抑えた上で、それを上回る規模の対策を講じている」

 --10%から先の消費税率の在り方をどう考える

 「家計の可処分所得の減少につながるため大幅な引き上げはすべきでないが、高齢化の進行に伴う社会保障費の膨張を考えると一定程度は上げざるを得ない。その際は、受益と負担の関係を従来以上に明確にする必要がある。また、経済成長率の引き上げなどを通じ、税率10%の枠内で消費税収を増やしていく努力も欠かせない」

 --韓国のVATは1977年以降、税率10%のままだ

 「韓国ではVATの税収は伸びていて、税収全体の4割近くを占めている。記載する税額を一段と詳しくした『インボイス』(適格請求書)制度導入と、97年のアジア通貨危機に後押しされたIT化の取り組みが効いていると思う。税収基盤の拡大や人手不足対策にもなる」

                   

【プロフィル】末澤豪謙

 すえざわ・ひでのり 1984年に大阪大法学部を卒業して三井銀行(現三井住友銀行)に入行。大和証券SMBCや日興コーディアル証券でチーフストラテジストとして活動し、2013年から現職。財務省の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の委員も務める。香川県出身。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus