金融

SDGs関連債 日本で来年1兆円の予想 国内発行、現時点で前年2.1倍に

 グリーンボンド(環境債)といったSDGs関連債の日本での発行が今年、既に前年比で倍増した。来年は1兆円に達すると関係者は予想している。

 ブルームバーグのデータによると1月からの国内発行は現在7300億円超と前年の2.1倍になった。国連の持続可能な開発目標を示すSDGsの関連債はソーシャルボンド(社会貢献債)やサステナビリティーボンド(環境・社会貢献債)を含む。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の水野弘道理事は講演で9月、3月末ほぼゼロの環境債の世界での投資残高が数十億ドルに達したことを明かした。

 6月の大阪での20カ国・地域首脳会合(G20サミット)で2019年はSDGsで重要な年と位置付けられた。今年の世界での発行額はESG(環境・社会・企業統治)債で22兆6000億円超あり、日本の規模は大きくない。日本で投資家は、環境債の起債コストが利率をさらに押し下げる場合があることを懸念している。投資判断の基準はあくまで利率を含む発行条件になるとの見方だ。

 野村証券の相原和之ESG債担当部長は来年のSDGs関連債について「1兆円超が日本でのメルクマールではないか」と述べた。資金使途にある程度制約があるが「検討中の発行体、市場ポテンシャルはある」と語った。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の池崎陽大投資銀行本部デット・キャピタル・マーケット部長も「少なくとも今年より間違いなく増え、希望的観測も含めて現状の倍とみている」と話した。

 気候債券イニシアティブ(CBI)CEO兼共同創業者、ショーン・キドニー氏は日本の環境債発行が世界的に出遅れていたことについて日本市場は比較的に保守的なことが背景にあると指摘。ESG債が世界的に認知され始めたことで「本格的に起債の動きが活発になった。日本市場が動くときは、象の大群のように動くため急速に拡大が進むとみている」と語った。

 ただ、環境債の発行水準は普通社債と同等なうえ、第三者認証機関の選定や環境省の補助金申請などで、通常の普通社債よりコストも手間もかかる。アムンディの有江慎一郎・債券運用部長は「日本でのボトルネックはコストをどうシェアするかが明確でないこと。発行体だけでなく投資家も真剣に考えるべき。これが変わらないと発行は増えていかない」と述べた。

 二酸化炭素(CO2)を排出する化石燃料を使用した火力発電を運用する電力会社の社債発行は年間1兆円を超えるが、ESG債の発行はなく、日本での事例はフランス電力のサムライ債のみ。GPIFの水野氏は、世界的な専門家は現在の株式・債券市場は気候変動リスクを織り込んでいないと言及しており「これから確実に起こるリスクを今のプライスが織り込んでいないということは今後私たちはそれだけの意識をして運用していかなくてはいけない」とし、「これから投資家がアクションを起こさないというのは許されないと思っている」と話した。(ブルームバーグ Issei Hazama)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus