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量子コンピューター 日本は「本流」に乗り遅れ 研究、人材不足も深刻

 量子コンピューターは、あらゆる計算が可能な万能型と、特定の計算問題を解く簡易型に大別される。米国などが開発しているのは万能型で、実用化は数十年後の見込みだが、情報技術の世界を一気に変える可能性を秘めている。日本は基礎研究で先行したが、製品化で出遅れが目立つ。

 万能型では、グーグルの試作機やIBMが今年1月に発表した商用機は、いずれも心臓部の材料に超電導物質を使う。この方式はNECが1990年代に世界に先駆けて実証していた。

 一方、簡易型は「量子アニーラー」と呼ばれ、東京工業大の研究者が理論を提唱した。だが、2011年に初の商用機を発売したのはカナダのベンチャー企業だ。

 米国や中国が万能型の開発に力を注ぐ中で、日本企業は技術的なめどが立っている簡易型の応用を目指す動きが多く、本流への乗り遅れを危惧する声もある。

 科学技術振興機構(JST)の調べによると、米中は量子コンピューターの関連研究に5年間で計1千億円以上を投資する国家戦略を進めており、巨大IT企業やベンチャー企業の動きも活発だ。日本では研究開発を後押しする自民党の議員連盟が先月発足。政府もようやく年内に戦略を策定する。

 量子コンピューターはさまざまな手法が提唱されており、どれが実用化の決め手になるかは見通せない。東京大の古沢明教授が取り組む光を使う万能型や、既存の半導体技術を応用する方式などの研究では、日本が先行している。

 ただ、人材不足が深刻で若い世代の育成が急務だ。JSTの嶋田義皓(よしあき)フェローは「材料科学や数学など日本の得意分野と結びつけるなどして、人材を増やすことができれば」と話す。

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