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平塚製菓 夢実現、東京産カカオのチョコ発売

 平塚製菓社長・平塚正幸さん(69)

 --10月に業界初となる東京産のカカオを原料にしたチョコレート「TOKYO CACAO」を発売した

 「チョコレート屋の夢として始め、いろんな人を巻き込みながら商品化できた。最初は2003年に業界の視察でガーナに行き、カカオの木を自宅に1本ほしいという思い。実ができたらチョコレートにしたとき、どんな味がするのか、周りの人に食べてもらいたいと、どんどん夢が膨らんだ。できたチョコレートはフルーティーで力強い味。多くの人に食べてもらいたい」

 --カカオの栽培や製造には苦労が多かったのでは

 「カカオはそもそも高温多湿の気候でしか育たない植物。産地と気候がなるべく近い東京都小笠原村の母島を栽培地に選んだが、最初は1000以上の種を植えたけど全滅。ただ熱心な農家の協力を得られ、海外の農園視察やハウス建設などをして再挑戦した。13年に最初の収穫に成功して、年々収穫量が増えていった。風味をよくするためにカカオを発酵するが、『発酵させては味を見て』を2年間くらい繰り返した」

 --今後はどういう商品として育てていきたいか

 「フルーティーでマイルドな味はこのカカオの特性なのだと思う。味の方向は変えないでやっていくが、ワインのようにこの年はこういう気候なのでこういう味になるというのもいいと思っている」

 --東京産のカカオでチョコレートを作った意義は

 「これまでは原料のカカオが遠隔地から届くものだったが、土作りから収穫、加工まで自分たちが関わった安心して楽しめるチョコレートを作ることができた意義は大きいと感じる。メーカーからの受託製造が主な事業だが、『TOKYO CACAO』は私たちの旗艦商品になるし、原料から作ったという経験は受託製造事業にも生かせると思っている」

                   

【プロフィル】平塚正幸

 ひらつか・まさゆき 立教大卒業後に2年間、関西の大手菓子メーカーに勤務、1974年平塚製菓入社。製品企画開発に注力、常務、専務などを経て、1990年から現職。東京都出身。

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