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NHK常時ネット配信に異例の「待った」 総務相が合理化策に落第点

 来年3月のスタートを予定していた、NHKによる番組のインターネット常時同時配信に待ったが掛かった。総務相に再登板した高市早苗氏が主導し、NHKの肥大化につながると強い懸念を示したためだ。異例の判断を受け、NHK側には「スケジュール的にもうぎりぎりだ」と衝撃が走った。

 「業務の見直しを徹底し、受信料の在り方の検討が引き続き必要だ」。高市氏は8日の記者会見で、NHKに同時配信の条件として求めた受信料引き下げや、子会社再編などの合理化策に落第点を付け再検討を求めた。

 高市氏が1回目の総務相を務めていた2016年9月、有識者会議がネット時代におけるNHKの在り方の報告書をまとめた。高市氏は当時、会議に出向き「NHK改革は非常に大きな位置付けで捉えている」と強いこだわりを示していた。

 総務相再登板後の今年10月、NHKは同時配信の実施基準案を申請した。高市氏は基準案やNHKに寄せられた公募意見を一つ残らず読み込み、官邸に足を運んで状況を説明。その上でNHKの改革が不足していると判断した。

 NHKの最高意思決定機関である経営委員会の堰八義博委員(北海道銀行会長)は9日、盛岡市の会合に出席後「定例の委員会だけでなく、必要に応じて臨時会を開くなどして対応したい」と話した。NHKには改革を進めてきたとの自負がある。10月の消費税率引き上げ後も受信料を据え置いて実質的に2%値下げし、20年10月にさらに2.5%の引き下げを予定する。合理化のため子会社の再編も進める。

 ただ受信料収入は年約7000億円に上り、1000億円超の繰越金を考えると、「切り込み不足と言わざるを得ない」(総務省担当者)。民放連の大久保好男会長(日本テレビ会長)はNHKのネット活用の拡大に「民業圧迫の懸念が残る」と危機感を示す。

 総務省は再検討要請に対するNHKの回答期限を12月8日に設定。年内か年明けに認可を判断するが、東京五輪の聖火リレーが始まる来年3月に間に合わない可能性も出てきた。一方NHK内部には、災害や大型スポーツイベントの同時配信は始めており、来春実施にこだわる必要はないとの声もある。幹部の一人は「真摯に対応することに尽きる」と語った。

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