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日本もパリ協定からの離脱決断を 幸福実現党党首・釈量子

 --トランプ米政権は4日、国連に地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱を正式に通告した

 「一方的で金がかかり、恐ろしい協定」として、脱退を正式に表明したトランプ政権の意向は、支持できるものと考えます。パリ協定は、産業革命前からの世界の気温上昇を2度未満、できれば1.5度に抑えるために、今世紀後半に人為的な温室効果ガス(GHG)の排出量を実質ゼロにすることを目指すとしています。GHGの削減目標は各国が自主的に定め、達成義務はありませんが、達成の難易度に各国間で大きな差があるというのが実情です。

 総量削減率を目標とする米国や日本は、削減のために経済成長が抑制される可能性がありますが、GDP(国内総生産)比削減率を目標とする中国は、排出量を2030年まで増加させ、経済成長を全く犠牲にすることなく削減目標を達成できるため、「不公平だ」とするトランプ氏の指摘は当たっています。

 --日本はどうすべきか

 米国の離脱により煮え湯を飲まされた京都議定書の反省から、日本は「全ての主要国が参加する公平かつ実効性のある国際枠組み」を強く求め、パリ協定の採択に至った経緯があります。しかし、米国が離脱すれば「全ての主要国が参加」というパリ協定の大前提が崩れ、京都議定書の二の舞いになることはほぼ確実です。日本は国益を考えれば、米国と同様にパリ協定からの離脱を決断すべきです。

 現在、日本は30年度のGHGの排出量を、13年度比で26%削減するとの目標を掲げています。その達成に向けて、大幅な省エネを進め、現状で8割に上る火力発電を56%に抑え、再生可能エネルギー22~24%、原発20~22%とする電源構成を目指すとしています。

 日本は11年の原発事故から世界最速で「脱原発」が進んでおり、稼働中の原発はわずか9基です。「40年廃炉」規制や厳しすぎる新規制基準、電力自由化など、原発の再稼働や新増設を困難にする仕組みが導入されていますが、これでは電源構成やGHG削減の目標を達成することは不可能です。

 --12月には第25回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP25)が開催され、グレタ・トゥンベリさんも参加する

 COP25はチリで開催される予定でしたが、チリで高価な温暖化対策を一因とした地下鉄運賃値上げが行われ、これに端を発する大規模デモが発生したことを受け、開催地が急遽(きゅうきょ)、スペインのマドリードに変更されました。スウェーデンの高校生活動家、グレタさんが参加することが話題になっています。

 グレタさんは9月、米ニューヨークの国連本部で演説し、環境対策に後ろ向きな世界の首脳陣の姿勢を糾弾し、注目の的となりました。彼女は「私たちは大量絶滅の始まりにいるのに、あなた方が話すことはお金のことや永遠に続く経済成長というおとぎ話ばかり。よくそんなことが言えますね」「私たちを裏切るなら決して許さない」などと強い調子で訴えました。

 しかし、地球温暖化により人類が大量絶滅することはあり得ず、むしろ食料の増産をもたらす可能性が指摘されています。また、経済を否定すれば、世界の持続可能な成長は不可能となり、新しいエネルギーの開発もできません。

 そもそも、人為的なGHGの排出が地球の気温上昇の主因であるとする説は仮説に過ぎず、大きな不確実性があることをIPCC(気候変動に関する政府間パネル)も認めています。

 グレタさんの活動は左派環境団体が支えているとされ、中国の関与も取り沙汰されています。彼女の発言を好意的に報道するマスコミが多いですが、成長や繁栄を否定する思想は、決して世界を幸福にする道ではありません。COP25での冷静な議論を望みます。

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【プロフィル】釈量子

 しゃく・りょうこ 1969年、東京都生まれ。国学院大学文学部史学科卒業。大手家庭紙メーカー勤務を経て、94年、宗教法人幸福の科学に入局。常務理事などを歴任。幸福実現党に入党後、女性局長などを経て、2013年7月より現職。

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