サービス

玉川高島屋SCが開業半世紀 複合商業施設の先駆け「にこたま」の中核に

 玉川高島屋ショッピングセンター(SC、東京都世田谷区)が今月11日、開業50周年を迎えた。国内初の郊外型SCとして生まれ、屋上緑化、生活や娯楽施設の併設、暮らしの提案など「コト消費」や複合商業施設の先駆けとなった。「タマタカ」とも呼ばれ親しまれてきた地域の「ライフスタイルセンター」は、50年たった今も人々の生活に寄り沿っている。

 東急田園都市線二子玉川駅西口前に広がる同SC。百貨店の次の時代を考えた高島屋が、欧米で広まっていた郊外型SCを日本でもつくろうと、鉄道や道路などの交通網、商業的な将来性などからこの地に開業を決めた。

 専門店の集積するSC自体が当時は未知のものだったが、老舗百貨店が核となることで信頼を得て、125の専門店が出店。昭和44年11月11日、ボウリング場、病院、託児所、1千台の大型駐車場や洗車場などを備えた画期的な商業施設が誕生した。初日には約11万人が訪れ、館内は通行が困難なほど混雑した。

 「銀座などの名店もそろい、ワンストップショッピングが可能なSC」。SCの開発、管理運営を担う東神開発の川倉勉顧問(72)は、目指したものをこう話す。同社の内定者として開業初日を迎えた川倉さんは、特定多数を客層とする郊外店では地域に根付くのに年月が掛かったと振り返る。周辺の田園調布、成城エリアなどに住む客層を念頭に高級スーパーや各地の名店が出店し、「郊外でも十分楽しめるところが大きなポイントになった」という。

 新しい商業形態を成功に導いた秘訣(ひけつ)は、玉川高島屋SC商店会の存在だ。高島屋と各専門店で構成される同商店会が、議論しながら運営方針のかじを取った。「みんなで一緒に盛り上げていくという機運を作ったのは心強かった」と川倉さん。専門店が340店舗に増えた今も、同商店会は欠かせないという。

 51年にはライフスタイルの提案をする冊子「コミュニティペーパーたまがわ」を創刊し、その実践の場となる「コミュニティクラブたまがわ」を53年に創設。カルチャースクールの先駆けの一つとなった。ポプリやフラダンスが広まるきっかけともなり、「玉川ミセス」のライフスタイルを彩った。

 駅前の同SCから国道246号沿いに店舗を広げるなど、「そぞろ歩きも楽しい回遊性のある街」に向けた開発も進む。若者や子供連れなどでにぎわい、住んでみたい街として名前が挙がるなど、街の価値が向上している。

 「単独の施設で勝負する時代は終わった」と川倉さん。百貨店を有する同SCが「上質な大人の街としての要素」を加え、地域の施設や町会などと一緒に、「にこたま」の中核としてさらに街を盛り上げる。(鈴木美帆)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus