金融

かんぽの先行き依然厳しく 日本郵政、通期最終益予想据え置き

 かんぽ生命保険は14日、2020年3月期の連結最終利益予想を従来の930億円から1340億円に上方修正した。不適切販売問題を受けた販売自粛で、販売費用が減少したことを反映した。だが、保険の新規契約は落ち込んでおり、中長期には業績を下押しする。問題の収束も見えておらず、親会社の日本郵政は20年3月期の連結最終利益予想を前期比12.4%減の4200億円で据え置いた。

 「不透明な要因が多い」。14日の決算会見で、日本郵政の市倉昇専務執行役は業績予想を維持した理由を説明した。

 かんぽ生命では、4~9月期の新規契約が前年同期比34%減の58万件に減少した。それでも即座に業績に悪影響がでなかったのは、販売委託先の日本郵便に支払う手数料が減ったことに加え、保険は保有する契約から毎年保険料を得るストック型のビジネスだからだ。だが、かんぽ生命の堀金正章副社長は「これが続けば保有契約が減り、経営全体に影響が出る」と先行きの厳しさを認めた。

 郵便局での保険販売に応じ、かんぽから手数料を受け取る日本郵便も新規契約の減少による厳しさは同様だ。郵政グループにとって保険販売は収益の柱の一つであり、販売が落ち込んだままの状況がどこまで続くかが今後の焦点となる。

 郵政グループは、顧客に不利益を被らせた疑いのある保険契約18万3000件の実態調査を進めており、調査報告を年内にまとめる。年内には、弁護士で構成する特別調査委員会の調査報告や、9月から立ち入り検査を行っている金融庁の行政処分もなされる見込み。これを区切りに、年明けから保険販売を再開させたい考えだ。

 もっとも、「年末で区切りをつけられるかは不透明だ」と総務省幹部は語る。実態調査では、9月末までに契約時の状況などを顧客に確認できたのは4割にとどまる。年内に残り6割の調査や保険料の返還、旧契約の復元などの顧客対応をどこまで進めることができるか。進捗が不十分なら顧客や従業員の不安は解消されず、再開は見切り発車との逆風が強まりかねない。

 販売自粛が解除されても、郵政グループが経営陣や不正に手を染めた職員の処分、問題の根本原因分析や抜本的な改善策などをきっちりと打ち出すことができなければ、失墜した信頼回復には至らず、顧客離れに歯止めがかからないじり貧の状況が続くことになる。(万福博之)

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