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国内ネットビジネスで覇権 ヤフーとLINE経営統合検討

 ヤフーを展開するZホールディングス(HD)と無料通信アプリのLINE(ライン)は14日、「協議を行っていることは事実」などと発表し、経営統合を検討していることを認めた。統合が実現すれば、国内最大のインターネットサービス企業が誕生する。人工知能(AI)に巨額の投資を続けるLINEは、AI領域に傾倒するソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長の戦略にも合致する。

 ヤフーとLINEの経営統合には、インターネットサービスの顧客基盤を拡大し、国内のネットビジネスで覇権を握る狙いがある。

 LINEは国内で約8000万人の通信アプリの利用者を抱え、ヤフーの利用者は約5000万人に上る。金融や小売りも手がける1億人規模のネットサービス基盤で米中の巨大IT企業に対抗する。慶応大大学院の黒坂達也特任准教授は「コンテンツのヤフーと、コミュニケーションに強いLINEでは、事業の重なりは少なく、きれいな組み合わせ」と相乗効果に期待する。

 1996年にサービスを開始したヤフーはパソコン全盛期のインターネットを支えた。スマートフォンへの移行を進めるが、利用者の中心は30代以上と“高齢化”傾向にある。一方、LINEの通信アプリは若年層利用者の厚さが強みだ。LINEの若い顧客を、電子商取引(EC)などのサービスに誘導すれば、さらなる成長も可能だ。

 ヤフーにとっては、念願の海外進出への足がかりにもなる。米ヤフー(現アルタバ)との合弁で誕生したヤフーは、事業を国内に限定されている。一方、LINEは2020年にインドネシアやタイ、台湾で銀行事業を開始する予定で、海外展開にも積極的。ヤフーは経営統合でアジア市場の成長も取り込める。

 LINEは赤字決算が続くが、音声認識や画像検知といったAI技術への巨額投資への裏返しでもある。SBGの孫氏は「AI革命はインターネットに続く革命」と主張しており、技術を持つ企業への投資を惜しまない。LINEの技術と日々積み上がる膨大な通信データはAI戦略上、何よりも魅力的だ。

 ただ、統合には巨大IT企業に対する世界的な規制強化の流れが立ちはだかる。黒坂准教授は「提供するサービスのほとんどで寡占状態となり、国内ではGAFA以上のパワーを持つ」と指摘する。この課題をどのようにクリアするのか、統合に向けて最大のポイントとなる。(高木克聡)

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 ■ソフトバンクとLINEの主な事業

 ≪メディア≫

 ◆ネット通販

 (ソフトバンク、ZHD)ヤフーショッピング ヤフーオークション ペイペイモール ロハコ

 (LINE)LINEショッピング

 ◆ニュース配信

 (ソフトバンク、ZHD)ヤフーニュース

 (LINE)LINEニュース

 ◆ゲーム

 (ソフトバンク、ZHD)ヤフーモバゲー(DeNAと共同運営)

 (LINE)LINEゲーム(任天堂と協業)

 ◆不動産

 (ソフトバンク、ZHD)ヤフー不動産

 ◆旅行

 (ソフトバンク、ZHD)一休

 (LINE)LINEトラベル

 ◆教育

 (ソフトバンク、ZHD)クラッシー(ベネッセが出資)

 ≪金融≫

 ◆スマホ決済

 (ソフトバンク、ZHD)ペイペイ

 (LINE)LINEペイ

 ◆カード

 (ソフトバンク、ZHD)ワイジェイカード

 (LINE)LINEペイカード

 ◆証券

 (ソフトバンク、ZHD)ワイジェイFX

 (LINE)LINE証券(野村証券が出資)

 ◆損害保険

 (LINE)LINEほけん(SOMPOと提携)

 ◆銀行

 (ソフトバンク、ZHD)ジャパンネット銀行(三井住友銀行が出資)

 (LINE)LINEバンク(みずほ銀行が出資)

 ≪インフラ≫

 ◆携帯電話

 (ソフトバンク、ZHD)ソフトバンク Yモバイル LINEモバイル(LINEが出資)

 (LINE)LINEモバイル(ソフトバンクが出資)

 ◆電力

 (ソフトバンク、ZHD)ソフトバンクでんき

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