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ヤフー・LINE統合合意 業種超えた合従連衝加速か

 ヤフーの親会社Zホールディングス(HD)とLINE(ライン)の経営統合で、利用者が1億人規模に上る国内トップのネット企業が誕生する。幅広いサービス分野で存在感が高まりそうで、競合他社への影響も大きい。ネットサービスや決済、金融などの関連分野では生き残りをかけ、業種を超えた形での合従連衡が連鎖していく可能性もある。

 「かなりの脅威になる」「先に行かれ、社内の士気が下がっている」。ヤフーとLINEの統合合意が正式に決まった18日、直接の競合先となるIT・通信業界だけでなく、関連する金融業界などでも驚きや警戒の声が上がった。

 買い物から決済、金融、メディア、娯楽など生活に必要なサービスをすべて載せ、しかも一つのアプリで提供できる巨大基盤が出現すれば、一気に覇権を握り、ネット上のあらゆる分野で他社を駆逐するほどのインパクトがある。

 スマートフォン決済の分野では、利用率のシェア(MMD研究所調査)はヤフーのペイペイが44.2%と首位で、楽天ペイが17.1%、LINEペイが13.6%と続いており、統合で圧倒的な地位を得る。黎明期の今は20社近くが乱立するが、2~3社に収斂(しゅうれん)されるとみられており、一枠は埋まる形だ。

 立教大学ビジネススクールの田中道昭教授は「1社では生き残れないと考えた競合企業が、業種を超えた連携や再編に乗り出すかもしれない」と指摘する。

 ITでは、売り上げ規模を抜かれる楽天がどう動くかが注目される。ネット上のあらゆるサービスをそろえ、利用者にグループの多様なサービスを回遊してもらう戦略は共通するが、2社の統合で先を行かれるからだ。もっとも楽天は携帯電話事業への参入が、基地局整備に手間取って計画より遅れており「かなりの力を携帯に割いている」(関係者)。早急に巻き返しの手を打つのは難しい状況だ。

 次なる再編の候補として注目されるのはメルカリだ。主力の国内フリマアプリの伸びが頭打ちで、スマホ決済でも投資が先行して赤字が続き、打開策が急務となっている。「LINEと同様に筆頭株主の株式保有比率が高く、交渉を進めやすい」と指摘する関係者もいる。(万福博之)

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