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コンビニで「読者」を呼び込む 新たな読書ニーズを掘り起こし

 出版不況やネット販売の台頭に伴い、本を実際に手に取って買える書店が減少する中、コンビニがお客と本を結びつける場として注目を集め始めている。限定本の発行、書棚の設置、書店との協業…。コンビニは新たな読書ニーズを掘り起こせるか。(加藤聖子)

 通勤で読み切り意識

 セブン-イレブンは10月にセブン&アイグループ限定で販売されるオリジナル新書(セブン&アイ出版)を創刊した。セブン-イレブンでは現在、書籍の売り上げが伸びていることもあり、同グループでしか購入できないオリジナル本の刊行に力を入れている。

 その一環で刊行されたのが、同新書シリーズ。第1弾となったのはタレント、坂上忍さんの『かけひきする勇気』など3点だ。セブン-イレブン・ジャパンの広報担当者は、「平成28年から出しているグループ限定書籍の『カリスマの言葉シリーズ』が好調だったこともあり、より短時間で気軽に読めるものがあればさらにニーズがあると考えた」と刊行の経緯を説明する。

 同新書はいずれも通常の新書より文字や行間が大きく、首都圏の往復通勤時間の平均に近い90分程度で読み終えるよう工夫されている。定価は500円(税抜き)と手軽に購入できる価格も魅力だ。広報担当者は「限定新書の売れ行き動向を見ながら、今後の展開を考えたい」と語る。

 地方では「受け皿」に

 書籍専用の棚がある店を続々と増やしているのはローソンだ。通常の店舗でも10~20点程度の書籍が扱われているが、書籍専用の棚がある店舗ではバリエーションが大幅に増え、100点前後がそろう。

 売れ筋が厳選されており、表紙を見せて陳列されているのが特徴だ。平成26年から一部店舗で始まった試みだが、書籍の売り上げが未導入店に比べて倍以上に伸びるとあって、現在は設置店舗が約4500店まで増加した。

 同社広報担当者は「特に、書店の減少が著しい地方では、ネットで買えないと悩むシニアや、現物を見てから買いたいという人はまだ多い。ローソンが書店に代わる受け皿として認知されてきた」と話す。

 現在、導入店舗で書籍を買っているのは女性やシニアが中心だが、立地条件の良いコンビニでは、本に興味がなかった人の目にも留まる可能性が高い。「近くのローソンで本が買えると喜ばれることも多い。今後も書籍専用棚の導入店舗は増やす方針」(広報担当者)という。

 利便性+文化発信機能

 ファミリーマートが力を入れているのは、コンビニと書店が一体になった店舗だ。コンビニの利便性に書店の文化発信機能を加えることで、より集客力の高い店舗を目指すという。現在書店一体型店舗は全国に20店程度あり、いずれも「書店とコンビニが一緒になっていて便利」と好評だ。

 ファミリーマート積文館書店三日月店(佐賀県小城市)は、書店との一体型店舗として昨年オープン。24時間営業で、コンビニ部分と書店部分に仕切りはなく、イートインスペースなども備える。レジも共通で、コーヒーや弁当と一緒に、気軽に本を手にすることが可能だ。同社広報担当者は「一体型店舗の書籍の売り上げは好調。今後も地域に密着し、便利で居心地のよい空間を提供していく」と話している。

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