金融

社債市場、思惑一致で拡大 企業の資金調達意欲と投資家の運用ニーズ (1/2ページ)

 超低金利の環境下で、社債の市場が膨らみ続けている。今年の発行額は、2008年のリーマン・ショック以降で最高になる見通し。「金利が低いうちに安く資金調達したい」という企業側の意識と、「少しでも有利な利回りで運用したい」と考える投資家側のニーズが一致し、市場拡大を後押ししている。初めて発行する「デビュー債」や50年債が登場するなど、顔ぶれも多様化してきた。

 リーマン後の最高

 国内の社債発行額は、日本銀行が16年に民間銀行の資金を預かる際に年0.1%の手数料を取るマイナス金利政策を導入して以降、増え続けている。日本証券業協会によると、今年は9月末時点ですでに約10.8兆円となり、16年の約11.4兆円を超えるのは確実だ。

 市場拡大の要因の一つに、企業側が低コストで資金を調達できる環境が続いていることがある。「多め、早め、長めに資金を確保したいという企業が増えている」。社債発行を急ぐ企業の動きについて、みずほ証券プロダクツ本部の戸高洋祐副本部長はこう表現する。

 企業は社債市場から調達した資金を銀行からの借り入れ返済のほか、M&A(企業の合併・買収)、株主からの要望が強い自社株買いに充てている。たとえば、武田薬品工業は5月に社債発行で5000億円を調達し、6.2兆円を投じたアイルランド製薬大手、シャイアー買収で生じた負債の一部を置き換えた。

 また、社債の役割について、SMBC日興証券デット・シンジケート部の新堂尚紀部長は「知名度や不特定多数の投資家の評価を反映する企業の通信簿だ」と解く。今年は日清製粉グループ本社や東海カーボンなど、社債市場にデビューする銘柄も目立った。高い格付けを得られれば、営業活動や銀行からの借り入れがしやすくなるなどのメリットを享受できる。

 年限も長期化し、ついに国債の最長年限40年を超える50年社債が登場。三菱地所、JR東日本、大阪ガスと、いずれも長期で事業展開を行うインフラ系の会社が発行した。

 「国債よりもマシ」

 一方、超低金利で運用難が続く投資家側の事情は深刻だ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券デット・キャピタル・マーケット部の池崎陽大部長は「より利回りを貪欲に求めるようになり、国債の代わりに社債を買う動きが強まっている」と話す。トヨタファイナンスは10月、実質0%で社債を出した。財投機関債では、日本学生支援機構が一足早く9月にマイナス利回りで債券を発行した。「さらに利回りが低い国債で運用するよりもマシ」(市場関係者)という理由で買われている。

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