高論卓説

米英、深刻な国論分裂と混迷 要因に急激に進んだ“格差拡大” (1/2ページ)

 日本では先月、世界183カ国より賓客を招き、「即位礼正殿の儀」が無事終了した。天皇陛下の宣明が終わるのとほぼ同時に、突然これまでの大雨がやみ、空に虹が現れ、また富士山頂も晴れ渡り、日本国民は令和の幸先良い吉兆を祝った。(杉山仁)

 一方、世界の民主主義を支える超大国アメリカと、民主主義の祖国といわれているイギリスで、国論を分裂させるような騒動が続いている。アメリカでは民主党がトランプ大統領のいわゆる「ウクライナ疑惑」につき、11月に入り下院が正式に弾劾調査を決定した。これに対してトランプ大統領と共和党は弾劾決議は民主党の根も葉もない言い掛かりで、「魔女狩り」と同じだと強く反発している。民主党は2016年の大統領選挙の際に、ロシアによる選挙干渉があったとして、トランプ大統領を追及したが、その証拠はついに発見できなかった。共和党は今回の弾劾も民主党によるトランプ下ろし工作にすぎないと主張している。

 反トランプの主流メディアは、ここぞとばかり弾劾手続きを連日大々的に報道し、反トランプムードを盛り上げているように見える。共和党と民主党の相互不信と深刻な対立はいまや草の根レベルでアメリカ国民を巻き込み、他国から見てアメリカの国論が二分されているように見えるのは筆者だけではなかろう。1980年代の筆者の米国駐在時代と比べ、アメリカの共和党と民主党との対立と国論の分裂ははるかに深刻度が増し、社会全体が相互にいがみ合っているようである。

 アメリカの巨大投資ファンド、ブラックストーングループの創業社長であるスティーブ・シュワルツマン氏は、現状のアメリカ政治の両極化と分裂の程度は南北戦争勃発直前の状況に似ており、アメリカは内戦の危機に瀕(ひん)していると先月警告している。アメリカは中国との覇権争い、北朝鮮の核問題、中東における紛争など、対外問題が山積みになっており、内輪もめを続けている間に対外的なリーダーシップが弱まっていくことが懸念される。

 一方、イギリスでは欧州連合(EU)とのブレグジット条件につき、英国内の国論が統一できないでいる。メイ前首相が開始したブレグジット交渉でEUとの離脱条件合意は本来は今年の3月末が期限であったものの、与党内の承認を得られず、メイ首相は7月に首相を辞任した。跡を継いだジョンソン首相は就任当初、10月末にはたとえ合意なき離脱でも離脱を完了すると主張していたが、議会の承認は得られず、最後の手段として総選挙に打って出ざるを得なかった。EUとの合意期限も来年1月末に延長されたが、12月12日の選挙結果次第では、さらに混迷が続く可能性もある。

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