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オムロンヘルスケア データサービス事業をアジア展開

 □オムロンヘルスケア社長・荻野勲さん(57)

 --2020年3月期の業績見通しは

 「売上高は前期比1.3%増の1170億円、営業利益は同3.6%増を見込んでいる。主力商品の家庭用血圧計は、景況感が悪化すると売れ筋商品の平均単価が下がる。ただ、高血圧症など生活習慣病の患者数は世界的に増加傾向にあり出荷台数は順調に伸びている」

 --高血圧が原因で起こる脳卒中や心筋梗塞の発症を未然に防ぐ「ゼロイベント」を提唱している

 「当社事業の目的は単に血圧計を販売するだけでなく、究極は病気で苦しむ患者やその家族をなくすことだ。日頃から血圧コントロールすることで、高血圧による重篤な疾患(イベント)の発症を減らす確率が上がる。3年前から提唱し、医師の賛同も得られるようになってきた。血圧などのバイタルデータ(生体情報)の測定を習慣化し、データを管理収集することで、効率的な治療や薬の投与に活用でき、医療費の削減にも寄与していきたい」

 --データを活用したサービス事業も展開している

 「今年4月、国内の健康保険組合向けに特定保健指導支援サービスを始めた。血圧計や体重体組成計、スマートフォンアプリなどを活用し、保健師とも連携して保健指導を行い、生活習慣病の予防につなげる。シンガポールでも企業向けに同様の健康支援サービスを始めており、アジア各国にも横展開していく」

 --今後の事業戦略は

 「今年5月、心電図も測定できる卓上型の血圧計を米国で先行して発売したように測定領域を広げていく。併せて、ウエアラブル血圧計などストレスなく測定できるデバイスの開発を進める。将来的には、測定データの解析や医師への診断治療支援サービスの提供など、パーソナライズ医療の実現につなげていく」

                  ◇

【プロフィル】荻野勲

 おぎの・いさお 1985年立石電機(現オムロン)入社。2011年オムロンヘルスケア取締役、13年専務、14年副社長を経て15年4月から現職。同年4月からオムロン執行役員常務。東京都出身。

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