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地価暴騰のカリフォルニア GAFAが数千億円の“尻ぬぐい”に走らされた事情 (2/3ページ)

 ニューサム知事の希望通り、米アップルと同様の取り組みが広がっています。というより、実はアップルが後発組なのです。

 最初に踏み切ったのは米グーグルです。今年の6月、サンフランシスコのベイエリアで値頃な価格の住宅を増やすため、10億ドル(約1000億円)を拠出すると発表。

 同社のサンダー・ピチャイ最高経営責任者は、同社が所有する7億5000万ドル(約817億円)相当の土地を提供し、住宅業者が手がける値頃な価格の住宅1万5000戸の建設を促すほか、買い手の住宅ローンの補助などを目的に、2億5000万ドル(約270億円)の基金を設立する考えを表明しました(6月18日付米紙ウォールストリート・ジャーナル電子版など)。

 これに続き、米フェイスブックが同じ理由で10月、10億ドル(約1000億円)を提供すると発表。カリフォルニア州とパートナーシップ関係を結び、値頃な価格の住宅供給を増やすため2億5000万ドル(約270億円)、サンフランシスコのベイエリアで生活するホームレスが住む住宅建設費などに1億5000万ドル(約160億円)をそれぞれ拠出する案などを明らかにしました(10月25日付英紙ガーディアン電子版など)。

 ただ、後発ながら米アップルの場合、同業他社の拠出額の2倍以上という大盤振る舞いもあって、注目を集めている側面があります。

 昨今、何かと話題になるGAFA(ガーファ=グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの略)のほとんどがカリフォルニア州の「住宅危機」の解消に向けた「尻ぬぐい」をさせられているわけですが、残りのひとつ、米アマゾンはすでに2年前から同様の取り組みに巨額の拠出を余儀なくされています。

 11月8日付の米金融経済系ニュースサイト、ビジネスインサイダーや英紙デーリー・メール(電子版)などが伝えているのですが、米アマゾンは2017年から、数百万ドル(数億円)を費やし、本社がある西海岸の街、シアトルのダウンタウンの中心部で、ホームレスのための8階建ての近代的な宿泊施設を建設しているのですが、それがいよいよ来年、完成するのです。

 米アマゾンと長年、協力関係にある非営利団体で、シアトルを拠点にホームレス対策に尽力する「メアリーズ・プレイス」との取り組みで、開業すれば、ひと晩に275人が宿泊できるワシントン州で最大のホームレスの宿泊施設になるといいます。

 米アマゾンは2010年、それまでのシアトル南西部から、中心市街地のそばに本社を移転したのですが、それ以降、シアトルでは住宅価格と家賃が大幅に上昇。2007年から2017年に、賃貸物件の家賃(中央値)は、全米で18%値上がったのに対し、シアトルでは何と42%と急上昇。そのため、低所得者層は住めなくなり、シアトルでは2014年以降、ホームレスが毎年9%ずつ増加。米住宅都市開発省のリポートによると、シアトルを抱えるキング郡のホームレスの数は、昨年、ニューヨーク、ロサンゼルスに次ぐ国内3位に悪化。同郡の路上には現在、約1万2500人のホームレスが暮らしているといい、8階建てのこの宿泊施設といえども一部のホームレスにしか対応できません…。

 今回の米アマゾンの取り組み、元々この会社が同じシアトルに本社があるボーイングやスターバックスに比べて慈善事業に消極的なうえ、住民や専門家から「ホームレス急増の原因はアマゾン」との非難の声が上がっていたことを受け、発案されたといい、シャワーやバスタブはもちろん、子供用のプレイルームや大きなカフェテリアなども完備。米アマゾンの社員がボランティアで運営に当たるといいます。

 とはいえ、こうしたGAFAの取り組みを地元民らが手放しで称賛しているかと言えば、決してそうではありません。

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