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小売り新手法 レンタル体験から販売へ

 レンタルに関する問い合わせがアパレルメーカーはもちろん、さまざまな商品のメーカーから急増している。レンタルプラットフォームを活用して自社商品を消費者に「体験」してもらい、販売につなげる狙いだ。レンタルという「体験」を経て販売につなげる手法は、新しい小売りの形になるだろう。(エアークローゼット社長兼CEO・天沼聰)

 EC(電子商取引)の広がりに伴い、「気になる商品はあるが、購入するとなると心理的なハードルが高い」と感じている消費者が増えていると思われる。一方、メーカーからは「商品の品質に自信があり、一度利用してもらえれば満足してもらえるはず」という声を多く聞く。

 レンタルによる「自宅での商品の実体験」は、両者のニーズをマッチさせる。例えばドライヤーは、実際に使ってみることにより、自分の髪がどのようなコンディションになるか、どれくらいの時間で乾くかが分かり、生活に適している商品であるという確証が得られる。

 加えて、小売業界の変化もある。“売り切り”の意識が強く、消費者の購入後の動向までは深く追求してきていなかった小売りが、消費者の利用後の声を聞くように変わってきた。今後の小売業界は、体験のハードルを下げ、消費者とのコミュニケーションがとれるかどうか、が成長の鍵となるだろう。実際、あるメーカーがエアークローゼットのプラットフォームを利用し、マットレス寝具のレンタルサービスを実施したところ、試してみたいという多くのニーズがあった。サービス利用者のアンケートでは約70%の顧客が「商品購入を検討」と回答した。レンタルサービスを利用したにもかかわらず、実際に使ってみることで購入を検討する流れが生まれたのだ。

 また、全ての利用者が「今後もさまざまな商品を自宅で試せるサービスを継続的に利用したい」と答えた。レンタルしたい商品の上位には、家電、掃除用具、美容機器、健康器具、家具などがあがった。いずれも実際に使ってみることで良さが分かる商品という共通点がある。

 ファッションレンタルサービスを提供するエアークローゼットでは、ファッション以外のさまざまな商品をレンタルし、実際に使用することができるプラットフォーム「airCloset Mall(エアクロモール)」のβ版を11月にリリースした。今後、体験できる商品を増やしていく。メーカーは自社でレンタルのオペレーションを構築する必要がなく、手軽にレンタルサービスを試すことができることから支持を得ている。

【プロフィル】天沼聰

 あまぬま・さとし 英ロンドン大学コンピューター情報システム学科卒。2003年アビームコンサルティングに入社し、IT・戦略コンサルタント。11年楽天に移り、UI/UXに特化したウェブのグローバルマネージャー。14年7月、ライフスタイルを豊かにしてワクワクが当たり前になる世界を目指してエアークローゼットを創業し現職。40歳。千葉県出身。 

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