金融

ローン担保証券リスク警鐘 日銀「邦銀で12兆円、価格下落増幅の恐れ」

 信用力が低い企業への融資をまとめて証券化した高利回りの金融商品「ローン担保証券(CLO)」への懸念が高まっている。超低金利に伴う運用難を背景に、農林中央金庫(農林中金)など3社が巨額資金を投じており、合計は約12兆円に上る。日本銀行は、経済危機や市場混乱をきっかけにCLOの価格が下落すれば、損失が生じる恐れがあると警鐘を鳴らす。

 CLOは、2008年のリーマン・ショックの引き金となった信用力の低い個人向け住宅ローン(サブプライムローン)と仕組みが似ていると指摘されている。今年9月末時点の投資残高は農林中金が7兆9000億円で国内最多だった。三菱UFJフィナンシャル・グループが2兆4733億円、ゆうちょ銀行が1兆5241億円と続いた。

 農林中金は各地のJAバンクから余剰資金を預かり、運用で得た利益を還元する役割を持つ。ゆうちょ銀は法人向け融資ができない。このため双方は運用が収益源で、CLOへの投資も多くなったようだ。

 農林中金、三菱UFJ、ゆうちょ銀とも最上位の格付けを持つCLOに投資しており、損失が生じる恐れは低いと説明する。しかし足元でCLOの利回りは低下、ゆうちょ銀は9月末に340億円の含み損を抱えた。農林中金はリーマン・ショックの際に証券化商品などで巨額損失を出したことがある。

 日銀は10月の「金融システムリポート」で、農林中金を含めて邦銀が保有するCLOは世界全体の約15%と指摘。リーマン・ショックのような事態になれば、最上位の格付けでも価格は約1割下落するとし、市場が急変した場合は「価格下落が増幅される可能性がある。リスクに留意が必要だ」と警告した。

 農林中金の奥和登理事長は「CLOに代わる高利回りの商品を見つけるのは大変難しい」と漏らす。日本やドイツなどでは長期金利のマイナスが常態化し、米国でも歴史的な低金利が続く。運用の苦悩は続きそうだ。

【用語解説】ローン担保証券(CLO)

 複数の企業向け融資(ローン)を1つにまとめ、その元本・利子を裏付け資産として発行した債券。主に米国で組成される。金融機関は信用力が低い企業の債権を売却することが難しく、証券化することで買い手を見つけやすくする狙いがある。CLOへの投資は高い利回りが期待できる半面、企業の返済が滞ると損失を被る恐れがある。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus