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ディスコ店 社長急逝に対応できず 邦栄/more communication

 ▼邦栄 邦栄は11月25日、名古屋地裁から破産開始決定を受けた。

 バブル期を中心に一世を風靡(ふうび)した高級ディスコチェーン「MAHARAJA」の流れをくむ「MAHARAJA NAGOYA」の運営会社。「MAHARAJA」各店は1999年までに一旦全店が閉鎖されたが、同社は東京都渋谷区で設立された後、2016年8月に移転。同年11月に「MAHARAJA NAGOYA」をオープンさせ、いわゆるディスコ世代を中心に大きな反響を呼んだ。

 ディスコホールは結婚式の披露宴会場としても利用できる作りで、幅広い需要の取り込みを志向していた。

 また、店内をバリアフリー対応にするなど、幅広い年代の客層に訴求していた。

 しかし、店舗開設に伴う債務も残るなかで、19年9月に玉木邦甫社長が急死。運営の見通しが立たなくなり、今回の措置となった。

 ▼more communication more communicationは11月20日、東京地裁から破産開始決定を受けた。

 同社は主にWEBマーケティング事業を手掛けていた。広告の企画から運用、分析までワンストップで行うことを強みとし、各種企業へサービスを提供。近年は自社開発のアドネットワークシステム「arata」を用いて、関心度の高い消費者をターゲッティングしSNSやインターネットサイトに広告掲載をしていた。2017年12月期の売上高は過去最高の21億2260万円に上っていた。

 しかし、取引先で女性用アクセサリーや化粧品の販売を手掛けるマルコス(東京都港区、19年9月27日破産開始決定)が19年8月に事業を停止したことで、同社に対して約2億円の焦げ付きが発生した。

 これを受けて急激に資金繰りが逼迫(ひっぱく)し、事業継続が困難となった。

【会社概要】邦栄

 ▽本社=名古屋市中区

 ▽設立=2007年6月

 ▽資本金=500万円

 ▽負債額=約6600万円

【会社概要】more communication

 ▽本社=東京都渋谷区

 ▽設立=2004年11月

 ▽資本金=9900万円

 ▽負債額=約10億円

 〈チェックポイント〉

 邦栄はブームの再来を目指して奔走していたが、道半ばで事業継続を断念した。知名度を生かしつつもディスコにとどまらないイベントやニーズに即した対応で話題を呼び、閉店を惜しむ声は多い。社長の急逝という非常事態をカバーするだけの経営の厚みがあれば、結果は違ったものになったかもしれない。

 more communicationは取引先の倒産で大口の焦げ付きが発生し、暗転した。業績は拡大基調だったが、今年に入って親密企業が破綻し、同社にも注目が集まっていた。異常にも映る巨額の不良債権は何を意味するのか。臆測が渦巻くなか、法的整理による今後の調査に関心が集まっている。(東京商工リサーチ常務情報本部長・友田信男)

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