話題・その他

「東証再編」M&A活性後押し 来年以降の動きに企業、プライム市場入り目的?

 日本企業のM&A(企業の合併・買収)が活発化している。調査会社レコフデータが4日公表した集計によると、今年は11月末までに3705件、15兆6248億円のM&Aが判明した。件数は通年で7年連続で過去最多を更新する見通し。市場では今後、東京証券取引所の市場再編の動きがM&Aに新たなトレンドをもたらすとの見方も出ている。

 中小、存続の手段に

 今年のM&A案件で金額が最も大きかったのは、アサヒグループホールディングスによる豪ビール事業の買収で1兆2096億円。このほか、ZホールディングスとLINEの経営統合やソフトバンクグループ(SBG)による米ウィーカンパニーへの追加出資など、SBGのM&Aへの積極姿勢が目立つ。

 全国の後継者不在に悩む中小企業では、会社存続の手段としてM&Aを選択する企業が増えており、これが全体の件数を底上げしている。

 一方、金額ベースでは、今年は11月末時点で昨年の半分程度にとどまっている。昨年は武田薬品工業によるアイルランド製薬大手シャイアー買収(約7兆円)など超大型案件が続いたことが響いた。

 M&Aはこれまで、高度な技術力や新たな販売網、規模のメリットを得るために実施するケースが主流だ。こうした中で、足元では新しいトレンドが生まれつつある。

 規模拡大目指す企業

 きっかけの一つとして注目されるのが、東証の株式市場再編の動きだ。金融庁の金融審議会は11月、4市場を3市場に再編する案を提示した。このうち「プライム市場」(仮称)に入る要件として、「多くの機関投資家の投資対象となりうる規模の時価総額・流通性を持つ」ことなどが挙げられた。

 SMBC日興証券企業情報部の山野義明部長は「プライム市場に入りたい企業が規模を大きくするためM&Aを実施したり、上場コストを削減するため経営陣による自社買収(MBO)を検討したりする事例が出てくるかもしれない」と予想する。東証は来年以降、市場構造改革に関する具体的な制度設計の検討に入る。議論の行方がM&A市場を左右することになりそうだ。(米沢文)

 ■今年の主なM&A案件

 (当事者1/当事者2)

 ◆アサヒグループホールディングス/ベルギーのビール大手の豪事業

  ・形態 買収

  ・金額 1兆2096億円

 ◆Zホールディングス/LINE

  ・形態 合併

  ・金額 1兆1806億円

 ◆ソフトバンクグループ/米ウィーカンパニー

  ・形態 追加出資

  ・金額 1兆308億円

 ◆三菱UFJ銀行、東銀リース/独大手金融機関子会社の航空機ファイナンス事業

  ・形態 事業譲渡

  ・金額 7000億円

 ◆スイス製薬大手のノバルティス/武田薬品工業子会社の眼科薬事業

  ・形態 事業譲渡

  ・金額 5836億円

 ◆ソフトバンク/ヤフー

  ・形態 買収

  ・金額 4564億円

 ◆ヤフー/ZOZO

  ・形態 買収

  ・金額 4009億円

 ※レコフデータの資料を基に作成。当事者1は買収や出資を行った主体、当事者2はその対象

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus