テクノロジー

中国でブロックチェーン熱 「分散型」理念に反し集権システムに懸念の声

 中国の習近平国家主席が仮想通貨の基幹技術であるブロックチェーンを推進するよう指示を出したことを受け、中国がブロックチェーンブームに沸いている。豚の飼育から企業の株価の追跡に至るまで多岐にわたる分野で同技術を活用するプロジェクトが加速。一方、中央集権的な中国政府が想定するブロックチェーンは分散管理を特徴とする同技術の本来の精神から程遠いものであり、懸念の声も上がっている。

 政府監視下を前提

 習氏は10月下旬、ブロックチェーン技術開発を加速させるとして同技術への投資を拡大すると発表した。同氏の声に応えるように、中国ではブロックチェーンに関与するプロジェクトが次々に立ち上がっている。

 成都市を拠点とする新興企業は、豚の飼育や安全な豚肉の提供する目的でブロックチェーン技術を活用しようとしており、一躍注目を集めた。また、代替肉の早期導入で著名なMYSグループはブロックチェーン事業への参入を発表した。

 一方、中国共産党機関紙、人民日報によると、共産党員が党への忠誠を誓うアプリをブロックチェーンに埋め込むという。

 習氏の発言直後には、上海と深センの株式市場で合わせて70を超えるハイテク関連株が値幅制限いっぱいまで上昇した。

 中国では既にアリババ傘下のアント・フィナンシャルなどの企業の間で越境の少額決済や医療費払い戻しなどの分野で同技術の導入が進んでおり、金融部門での導入が本格化するとの期待もある。中国人民銀行は先月、自らが運営するブロックチェーンを基盤とした貿易金融プラットフォームが750億元(約1兆1600億円)規模の取引を処理したと発表した。

 ただ、習主席がブロックチェーンを利用して達成しようとしていることは同技術の本来の理念から外れたものになる可能性が高く、一部で懸念の声が上がっている。本来のブロックチェーンは中央管理者を置かない「分散型(非中央集権型)」の管理体制を特徴としているが、中国のブロックチェーン戦略では政府による監視下に基づくシステムを前提としているためだ。

 データ改竄の恐れ

 従来型のブロックチェーンのシステムでは、強力な演算能力を持つコンピューターを使用する「採掘者(マイナー)」が取引を記録・検証する。特定のマイナーが全体の過半数の計算能力を支配すると改竄(かいざん)のリスクがあるため、多数のマイナーを参加させている。

 これに対し、中国のブロックチェーンは、より中央集権的な管理を可能にする「プライベートチェーン」という種類のブロックチェーンを採用。データ改竄の危険性も指摘されている。

 ピーターソン国際経済研究所の研究員であるマーティン・コルゼンパ氏は「現段階のプロジェクトはいずれも政府の監視下にあり、『分散型』の理念から程遠い。このように中国的な性格が強いシステムを導入すれば、仮想通貨やその基幹技術の根本の精神から外れることになる」と指摘した。(ブルームバーグ Lulu Yilun Chen)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus