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ホタテ大量死、急がれる原因究明 北海道噴火湾で水揚げ量激減「生きているのは2~5%」

 全国の養殖ホタテ生産量の約5割を占める北海道の噴火湾の漁師が、昨秋からホタテに起きた原因不明の大量死に揺れている。ホタテは全国の水産物輸出額で1位の「稼ぎ頭」だが、1~7月はその影響もあって2割落ち込んだ。10月から本格的な漁期を迎えた漁師は挽回に躍起だ。

 「生きているのは2~5%。これだけ死んだのは漁師を始めた40年ほど前に近くの有珠山が噴火した時以来だ」。噴火湾に面する八雲町で、ホタテの養殖業をする水口忠行さん(63)は悔しさをにじませる。

 噴火湾のホタテ養殖は1年程度育てた貝をひもで通して海中につるし、計2~3年かけて出荷に至るのが主流だ。ひもでつるすには多額の経費がかかり、貝が死ぬと大きな損害になる。

 水口さんのホタテは、昨年ひもでつるす前に4割が死ぬか傷んだ状態だった。生き残ったホタテをつるして1年育てたが、大部分が死んでいるという。経費削減のため、翌年以降に養殖する貝を厳選。「何年もかけて損を取り返さないといけない」と話す。

 噴火湾の主な漁期は10月から翌年5月。例年の水揚げ量は7万~10万トン程度で推移しているが、昨期は約1万8000トンだった。ホタテは日本の水産物輸出額で2012年から1位を維持しているが、今年1~7月は前年同期比23.5%減。農林水産省は噴火湾の大量死が要因の一つと分析。

 道立総合研究機構函館水産試験場の金森誠主査によると、水揚げで成貝の大量死が分かって問題になったが、それより1年ほど前から稚貝がすでに死んだり成育不良になったりしていることが確認されている。稚貝が多く死ぬ年は冷夏が共通していることや、大量死が起きた年のうち直近3年分に限っては風が強い日が多かったと指摘する。

 低い気温や日照時間の短さがエサとなるプランクトンの減少に影響したり、強い風が起こす海の環境の変化や稚貝を入れて育てるかごの揺れが悪影響を及ぼしたりする可能性があるという。

 噴火湾に面する漁協や自治体などは8月、道知事に対し潮の流れなどを測るブイの整備を求めた。噴火湾ホタテ生産振興協議会の高野勇一さん(67)は「不漁で今年廃業した漁師もたくさんいた。同じことがまた起きないためにも、測定したデータを集め、できる限り早く原因究明につなげてほしい」と訴えている。

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