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乳児用の液体ミルク、台風被害で需要を後押し 市場拡大で参入の動き本格化 (1/2ページ)

 台風19号などの自然災害が相次ぐ中、乳業各社が開封後にそのまま授乳できる乳児用液体ミルクの展開に本腰を入れ始めた。先行する江崎グリコや明治は哺乳瓶に移し替えなくても飲める提案をするなど使い勝手の向上を図るほか、雪印メグミルクや森永乳業も参入の動きを見せており、需要取り込みに向けた各メーカーの動きが加速している。

 東京都品川区の商業施設で11月29日、グリコが開いた液体ミルク体験会には5組の親子らが参加し、グリコの液体ミルク「アイクレオ赤ちゃんミルク」の紙パックに装着できる乳首型の飲み口が紹介された。新宿区から参加した母親(34)は「この飲み口は初めてだけど1回で飲んでくれた」と表情を和ませた。

 液体ミルクは昨年の厚生労働省の省令改正で国内の製造・販売が可能になった。グリコは今年3月、業界で初めて商品化。明治もほどなく缶入りタイプで追随した。粉ミルクより割高で賞味期限も短いため、需要は限定的との意見も聞かれたが、「売り上げは想定の3倍以上」(グリコ)と快進撃を続けている。

 外出時での高い利便性などに加え、直近の需要を後押ししているのは、秋に入ってから相次いだ台風や豪雨災害の影響だ。

 停電や断水被害が報じられる中、お湯などに溶かさなくても飲める液体ミルクは、乳児のいる子育て世帯に必要な備蓄品として認識された。グリコの体験会でも「台風前にあちこち探し回ったけど、手に入らなかった」という母親の声が聞かれた。同社の中村理恵管理栄養士は「最近は体験イベントでの反応も違ってきている」と話す。

 他の乳業大手も参入体制を整え始めた。雪印メグミルクの西尾啓治社長は11月8日の決算会見で「製品化のめどが立ったので関係省庁へ申請している。災害時の備蓄にも非常に力を発揮する」と明らかにした。森永乳業も「前向きに商品開発を進めている」と話す。

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