サービス

「日本の中の外国」北海道ニセコ 中国語や英語飛び交うも恩恵小さく

 世界的スキーリゾート地の北海道・ニセコで、外国企業による海外富裕層向けビジネスで生み出された雇用が、英語を使いこなす外国人の季節労働者で埋まってしまうことが分かった。シンガポールや香港など外国企業による開発計画が進んでいるにもかかわらず、地元への経済波及効果は意外に小さいという。「日本の中の外国」と呼ばれるほど英語や中国語が飛び交うニセコの街を取材した。(岡田美月)

 北海道の玄関口、新千歳空港から西へ車で約2時間走ると、スキーリゾート地ニセコの比羅夫(ひらふ)エリア(倶知安(くっちゃん)町)に到着する。スキー場麓のホテルが立ち並ぶ中心地に白壁で囲われた広さ約1ヘクタールの空き地がある。

 シンガポールの不動産開発大手SCグローバル・デベロップメンツが計画する、長期滞在の富裕層向け宿泊施設(コンドミニアム)建設予定地だ。地域最大級の計190室を備え、令和3年12月の完成を目指す。

 近くには、香港の不動産開発事業者メトロポリーホールディングスによる大型複合施設「アルクザカストリート」の建設予定地も。約3ヘクタールに及ぶ土地にコンドミニアムや飲食店などを整備し、6年の完成を予定する。

 倶知安町とニセコ町からなるスキーリゾートのニセコは水分の少ないフワフワの「パウダースノー」で世界的に知られる。開発ラッシュに沸く倶知安町は国土交通省が今年9月に発表した都道府県地価(基準地価)の調査地点で全国最高の上昇率を記録したが、地元商店の関係者は複雑な表情を浮かべる。

 「毎冬、1000人ほどの外国人が短期アルバイトとして働きにくる」

 倶知安町の統計によると、町内居住の外国人は、今年4~10月は700~900人台で推移したが、スキーシーズンの今年1~3月と11月は1500~2000人台に倍増した。

 商店関係者は、ニセコでリゾート開発を手掛ける外国企業が現地従業員に選ぶのは外国人で、「日本人を雇うことはほぼない」と雇用の実情を明かした。

 地元の別の関係者は、多くのスキー客はオーストラリアやシンガポールなど英語圏の外国人で、顧客対応や事務的な仕事を担ういわゆるホワイトカラーの仕事には英語が使える外国人が雇われると明かす。

 一度、ニセコに出稼ぎにきた外国人労働者は本国に帰ると、知人や友人にニセコでのアルバイトを勧め、次のシーズンには別の外国人労働者がニセコに来る循環ができ上がっているという。一方、地元の日本人向け雇用は、建設作業員などのブルーカラーが中心となっている。

 商店関係者は「外国資本が外国の富裕層向けにビジネスをしていて、偶然この地で商売が始まったというだけだ。日本なのに外国のような感じになっている」と打ち明けた。

 倶知安町では先月から同町に滞在した人たちを対象に宿泊費の2%を徴収する宿泊税を導入した。ただ、町の試算では税収は通年で3億5000万円。この関係者が「冬の時期だけなので大きな税収とはいえず、ニセコの一部だけがにぎわっているという感じだ」とこぼすように、地元への恩恵は極めて限定的とみられる。

 比羅夫エリアから車で20分ほど走ると、倶知安町の中心市街地に出る。スキー客でにぎわう地域とは対照的に、町中心部のJR倶知安駅の駅前商店街に人影はまばらだ。地元の議会関係者は危機感を示す。

 「中国など外国資本に経済面で実効力を奪われてしまう」

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus