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根深い原発マネー問題、700人調査も結論出せず 関電第三者委は年内報告断念

 関西電力役員らの金品受領問題を調べている第三者委員会(委員長・但木敬一元検事総長)は15日、大阪市内の関電本店で記者会見を開いた。但木氏は計約700人に聞き取りや書面調査を実施したと説明。関電が当初求めた年内の報告を断念し、問題の舞台となった高浜原発(福井県)以外の関電原発でも同様の問題の有無を調査する方針を示した。

 調査が既に約700人にも及んだことで、関電の「原発マネー」をめぐる問題の根深さが改めて浮き彫りとなった。第三者委は関電役員や社員、OBら100人以上に聞き取りを実施。社員ら原子力部門に関わる約600人に書面で調査し、ほぼ全員から回答を得た。但木氏は調査の進み具合が「量的には5合目を越えたが質的にそう言えるかどうかは分からない」と説明。最終報告は「年内に結論を出すのは全く無理。年度内も約束できない」と述べた。

 第三者委は関電の原発以外の部門も調査する。社内調査や役員研修会で事案を共有したにもかかわらず問題を公表しなかった隠蔽(いんぺい)体質や企業統治の在り方も検証する。関係者が刑事罰に該当すると判断すれば報告書に明記し、捜査当局の協力要請にも応じる。

 一方、1980年代以前の調査について「可能性がある限りやってみたいが本当に難しい。亡くなった方も多い」と限界も指摘した。その上で「個別事案を解決すれば答えに結び付くと思ったが(問題は)もう少し広がりを持つ」とも述べた。

 委員らで11月上旬に高浜町を訪れ、原発や文化、スポーツ施設を視察したことも明らかにした。

 第三者委は今年10月発足。役員ら20人が高浜町の元助役森山栄治氏(故人)から計約3億2000万円相当の金品を受け取っていた問題の解明を目指している。問題をめぐっては八木誠会長(当時)が10月9日、引責辞任した。岩根茂樹社長は第三者委の調査結果報告日に辞める予定だ。

 引き続き真摯に対応

 関西電力は15日、第三者委員会の記者会見を受けて「引き続き調査に真摯(しんし)に対応するとともに、コンプライアンス(法令順守)強化に向けた自主的な取り組みを進める」とのコメントを出した。

【用語解説】関電金品受領問題

 関西電力の原発が立地する福井県高浜町の建設会社が2018年1月、国税当局の税務調査を受けたのを機に、関電役員らが同町の元助役森山栄治氏(故人)から多額の金品を受領していたことが発覚した。岩根茂樹社長は社内報告書を公表し、自身を含む20人が計約3億2000万円相当の金品を受領したと認めた。八木誠会長は10月9日、引責辞任し、但木敬一元検事総長を委員長とする第三者委員会が設置された。岩根氏は第三者委の調査結果報告日付で辞める。

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