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ユニゾ「買収騒動」収束へ 従業員による自社買収が成立の公算大、課題は

 ホテル事業や不動産事業を展開するユニゾホールディングス(HD)をめぐる買収騒動が、収束へ向かい始めた。上場企業では国内初となる、従業員による自社買収(EBO)が24日、始まった。ユニゾ側は友好的としており、EBOは成立の公算が大きい。ただ、ユニゾの非上場化後の経営では、運転資金の手当てなどに課題が残りそうだ。

 EBOは「Employee Buy-out」の頭文字をとった略語。従業員らが金融機関から資金支援を受けた上で株主から株式を買い取る手法で、後継者がいない中小企業で事業を引き継ぐために利用されることが多かった。

 ユニゾのケースでは、従業員が設立した新会社「チトセア投資」が米投資ファンドの米ローン・スターグループから資金支援を受けて、24日から来年2月4日まで、1株当たり5100円でユニゾ株の公開買い付け(TOB)を実施する。発行済み株式の3分の2超を下限とし、全株の取得を目指している。TOBが成立すれば、ユニゾの現経営陣は来年5月までに全員辞任し、従業員から新しい経営陣が選ばれるという。

 ローン・スターは、ユニゾの経営には参画しないという。5100円とした買い付け価格も、4100円でTOBを実施中のソフトバンクグループ傘下の米投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループなどよりも高い。

 ユニゾは日米の好立地にオフィスビルを所有するなど不動産の含み益が評価されており、7月に旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)が敵対的買収を仕掛けたことから買収騒動が始まった。その後、HISに対抗する友好的な買収者(ホワイトナイト)のフォートレスなど米投資ファンド2社もTOBに向けて交渉を進めたが、従業員への配慮などから破談となった。

 一橋大学ビジネススクールの楠木建教授は「外部の圧力を弱める非上場化のためには、従業員が多数派を握るEBOのほうが長期的にはいいのではないか。ただ、従業員が経営陣になった後、運転資金をどうするのかが問われるだろう」と話した。(大坪玲央)

 ユニゾホールディングス 国内外でホテル事業や不動産事業を手掛ける。「ホテルユニゾ」「ユニゾイン」などのブランドで北海道から九州まで20以上のホテルを運営しており、低価格路線でビジネス客を中心に支持される。売り上げの8割程度を占める不動産事業では東京や米国のワシントン、ニューヨークにオフィスビルを所有する。平成31年3月期連結決算は売上高が560億円、純利益は119億円。

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