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フォーミュラEで培う市販のEV技術 回生ブレーキが決め手 (1/2ページ)

 電気自動車(EV)の進化に必要な技術が全て、静かな無菌ラボで誕生するわけではない。電気だけで走る電動フォーミュラカーの国際レース「フォーミュラE」はその最たる例だ。ドイツの自動車大手、BMWやフォルクスワーゲン(VW)傘下のアウディ、米シリコンバレーのバッテリーメーカーなどがレーストラックで証明するワールドクラスの技術は、スポーツ用多目的車(SUV)やセダンなど市販EVに活用される。

 途中の車両交換不要

 フォーミュラEはEVの普及促進を目指して2014年に北京で始まった。6回目となる2019/20年シーズンは12チームが11月から年をまたいで来年7月まで、大都市の公道コース14カ所で競う。日産自動車やインドのタタ自動車傘下のジャガーブランドなど、ほとんどのチームが市販EVの生産や開発に携わる自動車メーカーで、今シーズンからはル・マン24時間耐久レースの最多優勝メーカーでVW傘下のポルシェとフォーミュラ1(F1)製造者部門の覇者でダイムラーの高級車部門「メルセデス・ベンツ」が新たに参戦している。

 各国政府・地域が高燃費のガソリン車の段階的な廃止へと向かう中、メーカー各社はEVの性能改善とモデル拡充に尽力している。時速170マイル(時速273.6キロメートル)超のスピードが出るレース用に各社が開発した強力なバッテリー、高性能のエンジン、効果的なエネルギー管理のためのソフトウエア、ブレーキシステムは全て、レーストラックからショールームに移転されることになる。

 インドのマヒンドラ・マヒンドラのモータースポーツ部門マヒンドラレーシングの最高経営責任者(CEO)兼チーム代表のディルバグ・ジル氏は「われわれがフォーミュラEでやっていることはかなり、公道仕様の車に直結している」と話す。

 昨シーズンのフォーミュラEの覇者で、グループPSA(旧プジョー・シトロエン・グループ)傘下のDSオートモビルズ(パリ)と中国国籍のチームが提携した「DSテチーター」のマシンの加速性能は時速100キロに達するまでわずか2.8秒だ。

 DSオートモビルズは「フォーミュラEで勝つ車はエネルギー効率を最大限に高めており、その大部分はソフトウエアで決まる。われわれがフォーミュラEでアルゴリズムとソフトウエアを使ってやることは全て、量産車への活用を目指すものだ」と話す。

 フォーミュラEの初年度からシーズン4まで、ドライバーはレース途中で車両を交換しなければならなかった。レースは通常、約45分だが、バッテリーがイベント終了まで持たなかったからだ。

 各チームのコストを抑え、シリーズの競争力を維持する目的で、昨シーズンからシリコンバレーのルシッド・モーターズ製リチウムイオンバッテリーが導入され、車両を交換する必要がなくなった。

 ルシッドの創業者、ピーター・ローリンソン最高経営責任者(CEO)は米テスラの「モデルS」の元チーフエンジニアだ。同CEOは「われわれがこれをやる本当の理由は、自分たちがワールドクラスの技術を持っていると披露することにあり、当該技術は将来、公道を走る車に活用される」と話す。同社のセダン「ルシッド・エア」は来年、アリゾナで生産開始予定で、航続距離は400マイル以上、最高速度は時速200マイルを超える。

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