回顧2019

コンビニ人手不足、改革加速 オーナー告発、セブン誤算

 小売業を中心に深刻化する人手不足をきっかけに「24時間営業」を看板に掲げてきたコンビニエンスストアが岐路に立たされている。最大手のセブン-イレブン・ジャパンが自主的に営業時間の短縮を始めた店舗オーナーと対立し、国が介入する事態に発展。その後もオーナーの告発が全国で相次ぎ、業界全体を巻き込んでコンビニ改革の検討が進む。

 大阪府東大阪市のセブン-イレブン店舗で自主的な時短営業を始めたのは2月。コンビニは全国で5万店を超え、一部地域では商圏獲得をめぐって各社のコンビニが乱立する。人口減少などに伴って従業員の確保は厳しく、過当競争による客数減や人件費の高騰が各店の経営を圧迫していた。

 セブンは東大阪市の店舗に対して24時間営業の継続を要求。オーナーへの厳しい姿勢が、コンビニ店舗の窮状を理解していないと批判を浴びた。状況を見かねた経済産業省は4月、対策を盛り込んだ行動計画の策定をコンビニ各社に求めた上でその後、有識者検討会を設置して議論を始めた。

 「外圧」が強まる中、各社が時短実験を開始し、省人化店舗の検討を本格化。セブンは深夜休業の指針を策定して11月から一部店舗で時短営業を開始した。ファミリーマートも来年から正式な時短営業に踏み切る。既に時短を認める契約があるローソンでは、時短契約が100店を超えたほか、一部店舗で試験的に元日休業する。

 一方、セブン本部に不満を募らせていたオーナーは公正取引委員会に不正を告発。本部社員が営業目標を達成するため、オーナー不在時におでんなど商品を無断で発注する事案が発覚し、本部が実態調査に乗り出した。

 セブンの誤算は止まらず、7月にスタートした独自のスマートフォン決済サービス「7pay(セブンペイ)」は、不正利用が確認され3カ月で廃止。今月には、店舗従業員の計約4億9000万円の残業代が未払いだったことも明らかになった。

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