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武田薬品工業 価値観共有、シャイアー買収成功の鍵

 ■武田薬品工業取締役会議長・坂根正弘さん(78)

 --アイルランド製薬大手シャイアーを1月に約6兆2000億円で買収した

 「2017年末に話が持ち上がった。武田は米国での地位が低く、研究開発の大半を向こうに移したとはいえ、人材を確保していけるか心配だった。一方、シャイアーは売上高の6割が米国だった。それに私は、治療法が確立されていないテーマに挑戦するのが本来の製薬会社だと思っているが、シャイアーはまさにそんな企業だった」

 --経営陣の意見対立はなかったのか

 「取締役の半分を占める外国人は、製薬業界に関わりの深い人が多く、最初から前向きだった。これに対し日本人の大半は慎重で、私も最初は極めて消極的だった。武田はがんと消化器系、中枢神経系を重点3分野と位置付けているが、シャイアーは売上高の約6割が希少疾患向け。せっかく分野を絞り込んだのに、なぜ事業内容が違う会社に手を出すのかとの意見もあった」

 --クリストフ・ウェバー社長の報酬が高すぎるとの批判がある

 「武田が米国に本社を移していたら、そんな議論は起こっていなかっただろう。今の武田は、どの大手製薬会社よりも経営者としての力量を求められている。しかも報酬の多くはシャイアー統合に失敗すればもらえない。(批判には)できるだけ早く結果で示すしかない」

 --買収成功の鍵は

 「本当の『ワン タケダ』を早く作り上げることに尽きる。私のコマツでの経験でいえば、価値観の共有が一番大事だ。幸い、この会社には『誠実・公正・正直・不屈』を行動のよりどころとする創業時からの価値観『タケダイズム』があり、ウェバー氏もほれ込んでいる。私はよく、人は国が違っても浪花節を好む点は同じといっているが、ウェバー氏はまさにそうした心の持ち主だ」

                  ◇

【プロフィル】坂根正弘

 さかね・まさひろ 大阪市立大工卒。1963年コマツ入社。2001年社長、07年会長。経団連副会長などを歴任。14年武田薬品工業社外取締役(現職)、15年鹿島社外取締役(現職)、17年6月から武田薬品工業取締役会議長。島根県出身。

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