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「ローカル5G」に自治体など注目 自営でネットワーク構築

 第5世代(5G)移動通信システムでは、自治体や企業が敷地内などの限られた場所で展開する「ローカル5G」も大きな注目を集めている。

 ローカル5Gは、NTTドコモなどの携帯大手に割り当てられた電波とは別枠で、携帯大手の基地局整備が遅くなる地域でも自営でネットワークを構築することによって、早く新技術を使えるメリットがある。農業や工場などの現場の状況を離れた場所からカメラで確認し機器を自動で操作したり、自治体が河川の監視に活用したりすることが期待されている。

 総務省は昨年12月24日からローカル5Gの免許申請の受け付けを開始。関東では、東京都のほか、NECや富士通、ケーブルテレビのジェイコムなどが申請書類を提出した。東京都は、都内の中小企業やベンチャー企業が、5Gを使った事業に挑戦するための実験施設を開設する計画だ。

 また、住友商事や各地のケーブルテレビ(CATV)5社はローカル5G事業の新会社を共同で設立。今後、全国のCATV事業者向けに、各社が持つ光ファイバー網と各家庭を5Gでつなぐ事業を支援していく。

 新会社には秋田ケーブルテレビ(秋田市)や愛媛CATV(松山市)といったCATV5社に加え、通信大手インターネットイニシアティブ(IIJ)が出資。5Gの基幹システムを構築し、全国のCATV事業者に提供していく計画。

 CATV各社は利用者に提供しているネット回線を無線に置き換えることができ、家の中への配線引き込み工事などが不要になるという。

 将来的には一般家庭以外に、企業や自治体向けにも対応する考え。大容量で遅延が少ない5G通信の特徴を生かし、病院と家庭の間での遠隔医療に使うなど、幅広い応用を見込んでいる。

 総務省は2020年中にローカル5Gに使える電波の周波数を拡大し、より多くの企業が幅広い用途に利用できるようにする考えだ。

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