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5Gスマホ、普及遅れ懸念 値引き抑制で高額化…世界競争に劣後も

 今年春から商用サービスが始まる第5世代(5G)移動通信システム対応のスマートフォンが高額化し、利用者の負担が増すことで5Gサービスの普及が遅れかねないとの懸念が出ている。昨年、回線契約を伴うスマホなどの端末値引きが2万円までに制限されたためで、5Gで「世界との競争に取り残される」との声も上がる。

 5Gは人工知能(AI)や自動運転などと組み合わせた活用に向け開発が進む。個人向けにはスマホなどの端末で臨場感あるスポーツ観戦やゲーム体験が可能になる。多くの人が使うことでサービスが磨かれ、新たな用途が開拓される公算だ。

 5Gの電波割り当てを受けたNTTドコモなどの携帯会社は5Gスマホの価格帯を明らかにしていないが、本体価格は4G対応より高くなる見通し。改正電気通信事業法が昨年10月1日に施行され、通信料金が高止まりする要因とされていた端末の過剰な割引禁止も影響する。

 生産数が増えれば価格が下がる傾向にあるため、業界関係者は「出だしが肝心なのに、値引き2万円では一般の利用者には手が出ない」とみる。

 矢野経済研究所などによると、昨年サービスを開始した韓国では競争抑制のため販売奨励金を禁止しているが、期間や製品などを限った特例を認めている。10万円以上の5Gスマホが半額程度となり、4G対応より安く購入できる場合も多いとされる。

 ドコモの吉沢和弘社長は「端末普及のアイデアを出したい。国にも働き掛けたい」と危機感を示すが、総務省幹部は「端末代が見通せない中で、ルールの変更は考えられない」と話す。韓国の特例は国内産業保護の側面が強く、目立ったメーカーが少ない日本で同様の特例は理解を得られにくい面もありそうだ。

 MM総研の横田英明常務は「5Gは日本産業を発展させる根幹となる。普及を進めなければ世界との競争に取り残される」と指摘している。

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