高論卓説

今年の強気見通しに死角? 子年の株式相場スタート (1/2ページ)

 2020年の株式相場がスタートする。ベテラン投資家らの間で信奉者が多い干支(えと)にちなむ相場格言を再録する。「辰巳(たつみ)天井、午(うま)尻下がり、未(ひつじ)辛抱、申酉(さるとり)騒ぐ、戌(いぬ)笑い、亥(い)固まる、子(ねずみ)繁盛、丑(うし)躓き、寅(とら)千里を走り、卯(うさぎ)跳ねる」だ。20年は「子繁盛」の年回りに当たる。(加藤隆一)

 昨19年の亥年は干支格言を地でいくかのように、下値を固めたともいえる相場展開だった。年初から米中貿易戦争の緊張に揺さぶられ続けた。企業業績の陰りへの警戒感も高まり、日経平均は8月に一時2万200円台まで下げ、「2万円割れも」との弱気の声が続出した。しかし、年末にかけて海外勢の買いが復活して連日で年初来高値を更新し、一時2万4000円台を付けた。大納会は2万3600円台で終えたが、2年ぶりの年足陽線(上昇)で下値を固めた。証券マンらの表情は明るかった。

 20年の相場見通しは干支格言にあやかって、強気派が勢いを得る。証券各社が発行する投資情報資料に載った日経平均の高値予想は2万5000円~2万8000円の範囲に集中、中には3万円への挑戦を予想する向きもいた。米中貿易戦争の一時休戦、NYダウの史上最高値更新、世界的なカネ余りの継続などが投資家心理の好転を支えるとみる。次世代通信規格「5G」の商用サービス開始、ESG(環境・社会・企業統治)投資の浸透、東京オリンピックなどを20年の投資テーマに挙げる。

 米ウォール街の著名ストラテジストだったB・ファレルが唱えた10の投資ルールの一つに「強気相場は弱気相場より楽しい」がある。明るい未来を語るポピュリズム(大衆迎合主義)が世界各国で台頭したのと同様、市場関係者、投資家は強気論を歓迎し、弱気・慎重論を嫌い、排除する。

 嫌われ者を覚悟でいえば、20年の強気見通しにはいくつも死角があるように思える。筆頭はNYダウの動きだ。名目GDP(国内総生産)に対する株式時価総額の比率から株価水準の割高・割安を判断する指標である通称バフェット指数は昨年末に150を超えた。100が一応の基準とされ、100超が割高、100以下が割安とされる。直近のNYダウの動きはバブル最盛期の日本を彷彿(ほうふつ)とさせる。1989年末の東証1・2部合計の時価総額は611兆円、当時の名目GDPは421兆円だった。バフェット指数は145で、150に近づいた。NYダウが史上最高値を更新するたびにチキンレースが最終局面に差し掛かっていると映ってならない。

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