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テスラ、中国で正念場 現地生産EV納車開始も需要の失速に懸念 (1/2ページ)

 電気自動車(EV)メーカーの米テスラは7日、中国で現地生産したセダン「モデル3」の顧客への納車を開始する。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)率いる同社は、巨額を投じて世界最大のEV市場である中国に初の海外工場を設置したが、中国経済の冷え込みや補助金縮小でEV需要が失速する中、正念場を迎える。中国生産車の販売がつまずけば、赤字続きの財務状況を一段と圧迫し、株価に影響する。

 英調査会社LMCオートモーティブのアナリスト、チャン・ヤン氏(上海在勤)は「テスラは他の世界的ブランドがさらにEVを投入してくる前に、納車を開始しようと急いでいる。市場を勝ち取ろうとしている」と説明する。

 厳しさ増す市場

 テスラが上海工場新設を発表した2018年半ば以降、市場は様変わりした。発表当時の中国のEV販売台数は前年からほぼ倍増のペースで拡大していたが、補助金の大幅縮小で昨年11月には前年同月比42%減と大きく落ち込んだ。

 LMCは市場の厳しさを理由に、現地生産のモデル3の販売台数が2万1000台にとどまると見通す。上海工場はすでに週1000台強を生産しており、向こう1年間で生産台数を倍増する計画を考えると鈍い出足になる。LMCは過去のテスラの生産遅延や部品供給網にボトルネックが生じる可能性、高品質での量産化における複雑さを考慮に入れているという。

 もっとも、楽観的な見方もある。中国の調査会社、オートフォーサイト上海の張豫マネジングディレクターは、テスラがモデル3を約10万台販売できるといい、中国国際金融(CICC)のアナリスト、ワン・レイ氏はモデル3とモデルYを合わせて12万台販売可能と話す。

 テスラの中国プロジェクトはこれまでのところ順調に進んできたが、成功には顧客の支持が必要だ。米調査会社サンフォード・C・バーンスタインは中国のEV購入の多数(同社によれば約7割)が、これまでは政府やタクシー、モビリティサービス、政府関連の道路輸送といった政策直結の顧客だったという。同社のアナリスト、ロビン・ジュー氏は「要求が偏っており、今後2、3年で市場は一変しないだろう」と見通す。

 こうした顧客は通常、安い地元企業のモデルを選び、テスラのような高級車の購入は控える。バーンスタインによると、中国のEV販売台数の半数以上は生産コストが10万元(約154万9000円)に満たない。テスラは先週、モデル3の価格を9%下げ、35万5800元からを32万3800元からとした。補助金適用で、価格は29万9050元からとなる。「マスク氏の言葉を言い換えると、需要はとてつもなく高いかもしれないが、人々には文字通り、買う余裕がないということになる」(ジュー氏)。

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